万引き家族(Shoplifters)

先月に続き、又しても日本映画がNZの銀幕に登場。なんと日本映画としては「うなぎ」以来21年ぶりに、カンヌ国際映画祭で栄えある最高賞・パルム・ドールを獲得した、是枝裕和監督の「万引き家族(Shoplifters)」と、こんなに早くご対面できるとは!
東京の下町のうらぶれた一軒家に暮らす日雇い労働者の柴田治と、クリーニング店で働く治の妻の信代、夫妻の息子の祥太、JKリフレ店で働く信代の妹の亜紀、年金生活の治の母・初枝という、社会の底辺で生きてはいるものの、笑顔の絶えない一見平凡な家族には、実は裏の顔があった。実は、治と祥太は親子で万引きを働き、信代はクリーニング店の客の衣服のポケットからアクセサリーをくすね、初枝はパチンコで他の客のドル箱をネコババし、そして何よりも初枝は表向きは独居老人ということになっていて、同居家族の存在は秘密だった。
そんなある日、治は近所の団地で震えていた女の子を家に連れ帰る。”ゆり”と名乗る少女の体は傷だらけで児童虐待が疑われ、柴田家の6人目の家族にすることにした。その後、テレビで失踪事件として報じられ、”ゆり”の本名が”北条じゅり”だと知るにあたり、一家は彼女の髪を切り、”りん”と新たに命名し、祥太の妹に仕立て上げ、失業した治はりんに祥太の万引きを手伝わせる。
しかし、そんな柴田家の日常も、初枝の死を機に崩れ去っていく。
軽犯罪に手を染めているとはいえ、平凡だった一家の面々だが、祥太が万引きで捕まったことにより、実は”柴田家”全員が血縁関係のない疑似家族だということが明らかになり、一家はバラバラになるのだった。
独居老人、高齢者所在不明による年金不正受給、児童虐育や育児放棄、脱法風俗など、現代日本の闇の縮図のような”柴田家”だが、なぜか明るく楽しそう。
奇しくも名女優・樹木希林訃報のニュースが報じられた後。彼女の名演も見納めかと思うと、本当に惜しい。

我等(がとう)あり:美大時代に映像制作を学び映画にはまる。今はなきミニシアターに足繁く通い、又、近所のマニアックなレンタルビデオ屋の常連となり、ビスコンティ、フェリーニ、グリナーウェイ等を次々に制覇。好きな映画は「地獄に堕ちた勇者ども」「ひまわり」、好きな俳優は、マルチェロ・マストロヤンニ。

この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.104(2018年11月号)」に掲載されたものです。

投稿者: kjadmin