“俺はラーメン店をやりたいって思ったんだ。あのオヤジさんのように” 栗原道生氏

開業は2005年。現在はオークランドのアンザック・アベニューにある本店ほか、2017年5月にオープンしたばかりのグレンフィールド店をはじめ、計3店のフランチャイズ店舗を構える「たんぽぽラーメン(TANPOPO Ramen)」。日本人や現地の人から、ラーメンといえばたんぽぽ、と言われるまでに成長した同店の店主、栗原道生氏に、ニュージーランドで起業したきっかけや、そのビジネスの成功の秘訣をうかがった(KT:KIWI TIME Japanese Magazine)。

KT: ニュージーランドで起業したきっかけを教えてください。

高校卒業後は、日本のとあるパン屋で働いていました。休憩時間はいつも近くのラーメン屋に食べに行っていて、そこのオヤジさんがいつも首にタオル巻いて、汗をかいていたんですね。その姿を見て、なんか妙にカッコいいと思ったんです。一方で俺は何をやっているのだろう、と。いっちょまえに白いシェフコートなんか着ちゃってさ、なんて考えたことを今でもよく覚えています。でも、だからといってその時にラーメン店を開こうとは考えませんでした。パン屋で4年働いた後は、高校時代にアルバイトでお世話になったハンバーガー店の店長として5年働き、その後は新しい世界を見てみたいと、ニュージーランドにワーキングホリデーで渡航しました。その時働いていたラーメン店で、永住権が取れたんです。せっかく永住するなら、あのカッコいいオヤジさんがいるようなラーメン店を始めよう!と心に決めました。そこで一旦日本に戻り、ラーメン店で修行して、再度ニュージーランドに戻ってきました。

KT: ニュージーランドに戻ってきて、最初に取り掛かったことは何ですか?

まずは物件探しでした。市内の空き物件を見てまわっていたところ、奥に広い2階建ての建物の物件を見つけたのですが、そこはなんかラーメン店には向かないなと思って帰ろうとした時、そこの2軒隣で中華料理店が営業しているのを見つけました。不動産業者にその物件がいつまでの契約なのか聞いてもらうよう頼んでみると、そこのオーナーからもうすぐ契約期間が終了するから営業の権利も売ってくれるという話が舞い込んできました。それからは一気に話が進み、店舗に関する契約を弁護士に頼み、会社設立の手続きや改装準備、会計士の決定、リカーライセンスの申請などを行い、約4ヵ月後には開店できる状態になりました。実はその中華料理店が、現在の本店です。ワーキングホリデーで滞在していた時からこのエリアを知っていて、店舗を探している時もこの辺りでやるんじゃないかって思っていたけど、まさか本当にここで店を構えられる日がくるなんて思ってもみなかったですね。

KT: 開店当の反響はいかがでしたか?

 当日は何も告知していなかったのに、なんと満席で大盛況! すごく忙しかったのを覚えています。個人的には豚骨ラーメンをおすすめしていたのに、なぜかキムチラーメンが売れたり、ラーメンを食べながらパンが欲しいと言ってくるお客さんもいたり(笑)。その方はラーメンをスープ感覚で食べていたんでしょうね。とにかく、色々と試行錯誤しながら一生懸命でした。

KT: フランチャイズ展開を決めたのは、何がきっかけだったのでしょうか?

趣味でサーフィンをしていた時、友人とビーチでばったり会って、男同士で一緒に砂を掘りながらいろいろ話をしていると、フランチャイズをやってみてはどうかと提案されたんです。試しにウェブや雑誌で告知してみたところ、なんとオーストラリア人のカップルから応募がありました。それからこの店で修行を積んでもらった後、メルボルンに「リトル・ラーメン・バー(Little Ramen Bar)」が開店しました。2012 年には店の常連さんがハイランド・パーク内に「たんぽぽラーメン・ホウィック店(TANPOPO Ramen Howick)」を、2017年には9年半も本店で働いてくれたスタッフがグレンフィールド・モールの近くに「たんぽぽラーメン・グレンフィールド店(TANPOPO Ramen Glenfield)」を開店しました。

KT: 店舗が12年も続いている秘訣を教えてください。

 そうですね、店舗の内装とか、もっとカッコよくした方が現地の人からは好まれるのかもしれませんが、俺はラーメンを食べるならテーブルだけあれば十分と思っているので、あえて店内の装飾はしていません。もしかしたら、そういう変にローカライズしないところがよかったのかもしれませんね。俺はラーメン店がやりたかった。ラーメンしか作れないし、今もこれからも俺らしく、日本のラーメン店らしく、ずっと続けたいと思っています。

 

KT:最後に、ニュージーランドで起業をしたいという方に向けて、メッセージをお願いします。

 起業するのなら、とにかく従業員を大切にする、という意識は必ず持っていてください。だって、自分ひとりでは何もできないでしょう?従業員を大切にする気持ちも覚悟もないなら、起業は絶対にするなと伝えたいですね。

【インタビューを終えて】

今年で12周年を迎えた「たんぽぽラーメン」。フランチャイズ店舗の展開や、10周年の際にはオリジナルの冷凍餃子を店頭や日本食材店で販売するなど、新しい事業にも取り組んできた栗原氏。「ラーメン店のオヤジ」としてのこだわりを見せ続けているからこそ、12年も続けてこられたのだろう。栗原氏はインタビュー中も始終笑顔で取材に対応してくれて、客が来ると大きな声で「ハロー」と呼び掛けていた姿が印象的だった。

プロフィール

栗原道生。オークランド在住。妻と子ども2人の4人家族。趣味はダイビング、サーフィン。1999年にワーキングホリデービザで渡航し、2015年にラーメン店を起業。現在に至る。

Ramen TANPOPO(www.tanpoporamen.co.nz

 この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.91(2017年10月号)」に掲載されたものです。

 

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