”She’ll be right! なんとかなるさって思って”ジェシカ・ゲリティさん

「日本のおもてなしの心は、15年前も今も心地よく」

日本のテレビ番組「世界くらべてみたら」や「世界が驚いたニッポン!スゴ~イデスネ!!視察団」などに出演する、ニュージーランド出身タレントのジェシカ・ゲリティーさん。日本に興味を持つようになったきっかけは何だったのか、また現在は日本でどのような生活を送っているのか、彼女の人生に迫った。

きっかけは学生時代の日本旅行
日本で人生初の電車に感動

オークランド大学出身、都市計画コースを専攻していたジェシカさん。大学入学初日に、今でも交流がある同じ学部出身の日本人女性と出会ったことで、少しずつ日本の魅力にはまっていった。

「父の仕事は大型船専用のエンジニアです。エンジンが好きな父からよく日本車のエンジンや整備に関して聞かされていたこともあったので、日本に対して良いイメージがありました。でも日本へ行く機会は全くなくて。だから彼女が夏休みに日本へ一緒に行こうと誘ってくれた時、これは良いチャンスだと思いました。大学の夏休みは2ヶ月もあったので、とりあえず軽い気持ちで付いていくことにしたんです」

とはいえ、その時の滞在期間はたった3日間。友人の実家がある兵庫県姫路市へ直行し、周辺を観光しただけだった。それでも、当時は交通機関があまり発達していなかったオークランド市内で育ったジェシカさんにとって、人生初となる電車に乗れただけでも感動だった。

「車を使わなくても移動できることと、交通機関の時間の正確さには驚きました。帰国後も日本の旅行計画に夢中になって、大学に在籍していた5年間は長期休みに入る度に日本を訪れましたね」

外国人向け乗車券ジャパン・レール・パスを最大限に利用し、日本各地を巡ってはおもいっきり満喫。次第に日本旅行から日本生活にあこがれるようになり、大学卒業後は日本にある英語学校に就職することを決め、晴れて日本の生活が始まった。

日本語はテレビ番組を真似て勉強
唯一困ったことは家探し
当時のジェシカさんは、日本語をほとんど話せなかった。しかし職場は英語学校。日本ができなくてもほとんど問題がない環境で、必要な時はジェスチャーを使って乗り切った。

「ニュージーランド人は、英語ができないなら勉強しなさい!という考えを持っている人が多いんです。一方、日本人は日本語が話せない人に対してイライラせず、何を伝えたいのか理解しようとする姿勢を見せてくれます。そんな日本人のおもてなし精神がとても心地よく、外国人にとってなじみやすい国だと感じました」

学生時代の日本人の友人も、日本語の勉強を手助けしてくれた。また、もともと都市計画専攻で東京という大都会での生活に興味があったため、日本語の勉強は楽しく学べた。

「あとは『笑っていいとも!』を見て勉強しました。当時はシフト制だったので日中は時間があり、『いいとも』を見て出演者の日本語の話し方を真似していました。最初は“俺”と“私”の違いが分からなかったですね(笑)」

しばらくして、英語学校で子どもの英会話クラスを担当するようになり、英語を教えながら逆に子どもから日本語を教えてもらうこともあった。3年後には英語学校を退職して日本の人材紹介会社に転職。人事アシスタントとして勤務し、そこではビジネスで使う日本語を覚え、次第に日本語は不自由なく話せるようになっていった。

「唯一困ったことといえば、家探し。物件を探していると不動産会社から外国人だからという理由で電話を切られることが多々ありました。とにかく契約することが先決だと思って、実際の部屋の中を見ることなく、間取り図と外観だけで契約したこともあります」意外にも、住宅探し以外で苦労したところはなかったという。

「ニュージーランドではほとんど見られない満員電車も噂通りの大変さでしたが、徐々に慣れていって、時には隣の人の肩を使って寝たこともあるんですよ(笑)。車の運転は、日本人は気配りができるし、時間帯によっては渋滞するけど、互いに譲り合ったり、ハザードランプでお礼の合図を出したり。ニュージーランドではそんなこと考えられません! 遅すぎると言って文句を言われるし、平気でクラクションを鳴らす人もいて怖いですよね」

外国人タレントとしてテレビ番組に出演
現在は子育てしながら働くキウイウーマン
ある日、友人から外国人タレントが多数所属する芸能事務所「稲川素子事務所」を紹介された。後日、テレビ朝日「Sma STATION!!」のオーディションがあり受けてみると合格し、外国人タレントとして初めてテレビに出演することができた。
「最初の頃は、何も話さないでただ後ろに座っているだけの仕事。それが2年ほど続きましたが、日本語の能力が上がってからは、番組内でトークをする仕事が増えました」

仕事を続けながらのタレント活動だったが、忙しくも充実感を感じ、楽しくこなせた。ただ、台本は当日渡しで、リハーサルはなし。読んで覚えてすぐに本番というのが常。時々日本語を間違えて落ち込むこともあるという。
「先日は本番中に温泉のことを聞かれて、ロトルアには温泉がたくさんありますよ、って答えた後にトークが続かなかったことがありました。収録後に、ニュージーランドの温泉は水着を着て入りますよ、という話をすればもっと内容を広げられたのに、と反省しました」

私生活では、会社を通じて知り合った男性と結婚。現在は9歳、7歳、4歳の3人の子どもを育てながら、仕事は続けている。
「タレントの仕事は本当に楽しくて、生きがいになっています。夜が遅い日の収録もありますが、それよりも子どもの迎えや食事の用意、ベビーシッターの手配など準備の方が大変。それでも“Should be all right!”!どんなに忙しくても全力でポジティブに、前向きに頑張っています」

〈Profile〉
ジェシカ・ゲリティー:ニュージーランド・オークランド出身のタレント。稲川素子事務所所属。TBSテレビ「世界くらべてみたら」、テレビ朝日「世界が驚いたニッポン!スゴ~イデスネ!!視察団」などに出演中。現在は夫と3人の子どもとさいたま市に在住。

〈インタビューを終えて〉日本国内でニュージーランドの良さを伝える活動をされているジェシカさん。取材の時、3人のお子さんと接していた時は母の顔、お父さまには「ダッ~ド」と少し甘えた声と表情でした。そして最後に「日本とニュージーランドをつなぐ架け橋となり、国と国とが繋がるような仕事をしていきたい」と語ってくれた。仕事も家庭も頑張る”キーウィ・ウーマン”だ。

〈現在レギュラー番組2本のほか、NHK特番などに出演中。日本におけるニュージーランドの代弁者としての彼女の活躍に母国での注目度も高くなっています〉

この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.97(2018年4月号)」に掲載されたものです。

投稿者: kjadmin