“翻訳・通訳部分のワンストップショップを目指して” Hyden TOONEN 氏

 

翻訳・通訳分野のワンストップショップを目指して

TransNational 代表
へイデン・トーネン氏

 

クライストチャーチに本部を置くTransNationalは、ニュージーランド国内12ヵ所に拠点を持つ全国ネットワークのサービス体制を持つ翻訳・通訳の会社。プライベートでは黒帯の保持者でもある、同社代表のトーネン氏にお話を伺った。

師匠の言葉を理解するために励んだ日本語学習

KT:高度な日本語を駆使されるへイデンさんですが、日本語に親しむようになったきっかけは何でしたか?
HT:高校生の時に日本の武術に興味を持ったからです。当時、私は学校が終わると自転車に乗ってテコンドーの道場に通い、それから柔術も習い始めました。その頃から夜間の短期コースや独学で日本語の勉強を始めました。日本語が上達するにしたがって日本への思いが強くなり、実際に日本に行きたい、先生の言葉をもっと理解したいと思うようになりました。高校卒業後は、大学に進学しないで、ワーキングホリデーを利用して日本に旅立ちました。日本にいる間は、働きながら日本語を学び、空いている時間は柔術の道場に通うという日本語漬けの毎日の中、とにかく通っている道場の師匠の言葉を少しでもきちんと理解したい、という思いでいっぱいでした。

1年間の滞在を終えた後は、ニュージーランドに戻って大学で日本語を専攻、基礎から学び直したが、それでも物足りなさを感じて修士課程に進み、さらに高いレベルの日本語を修得したトーネン氏。大学卒業後、再び日本へ渡航。そこで現在の翻訳会社を設立するきっかけを見つけたと言う。

KT:翻訳会社の設立は、いつ頃から考えていたのか教えてください
HT:最終的に10年間、日本で働きながら暮らしました。大学卒業後に就職した、日本の大手印刷会社の国際部で、日本語から英語への翻訳や英語の校正に携わる仕事をしました。その他にも、大手出版社や大手銀行で働いた経験を通して、翻訳や校正の経験とビジネスとの両面に関して学びました。この経験を踏まえて、ニュージーランドで会社を設立しても成功できると確信しました。ニュージーランドに帰国して、翻訳と通訳の会社を立ち上げました。

10年間過ごした日本を後にするのは寂しい気持ちと、新たな夢を胸に抱き、母国に戻って会社を立ち上げた。

常に高品質を目指す

KT:翻訳・通訳や校正だけでなく、デザイン部門も加えた幅広いサービスを提供する会社を経営するへイデンさんですが、会社を立ち上げるにあたって、もっとも気をつけたことは何でしょうか?
HT:高い品質のサービスを提供することに、最善の注意を払っています。そのために最優先に揚げたことは、プロフェッショナルな仕事をする通訳者・翻訳者・校正者・デザイナーを集結させる、そして品質管理を徹底することですね。日本から帰国した当時、翻訳・通訳・レイアウト・デザインを多言語で扱う会社はクライストチャーチに1社しかありませんでした。私の日本で得た経験を活かして、高いレベルのサービスや品質を常時提供することができれば、きっとチャンスがあると思いました。

 

会社一丸となって、幅広い内容に対応する

KT:具体的なサービス内容について聞かせていただけますか?
HT:翻訳部門は、運転免許証、戸籍謄本、裁判所や移民局への提出書類などを多く手がけていますが、翻訳に関わることであれば、概ね何でも対応することが可能です。通訳部門では、裁判所にスタッフを派遣することもあれば、ACCで事故詳細の説明を行ったり、国際的な商談や会議などでの業務を依頼されることもあります。デザイン部門では、プロのクリエイターがパンフレットや外国語でのDTPなどの印刷業務から、ビデオ編集や字幕制作、スタジオ収録など映像メディアまで対応しています。また部門を越えて協力しあって行う業務も少なくありません。吹き替えサービスや通訳用通信機器貸出、コンフェレンスおよびイベント通訳コーディネートなど、職務もさまざまなため、会社一丸となって幅広い内容に対応できるよう展開しています。

KT:今後の方針や展望をお聞かせください。
HT:将来的にはオーストラリア市場参入を視野に入れつつ、今現在の業務内容をさらに充実させて、ワンストップショップとして国内で力をつけていきたいと考えています。

TransNationalは、各地にある加盟店が受付窓口となり、本社で全ての行程と品質を管理しながら、24ヵ国語の翻訳に対応している。各業務を専門的に分別化し、それぞれの分野の専門家を登用しているからこそ、今の成功があると言える。トーネン氏は、各分野の専門化スタッフ以外にも会社を支えている重要な人物がいると言う。それは副社長であり、トーネン氏のパートナーでもある、妻の由美子さん。由美子さんの尽力がなければ、ここまでの翻訳・通訳ネットワークを築くことはできなかっただろうと、振り返った。

 

Hyden TOONEN(へイデン・トーネン):

TransNational代表。日本語学士号・応用言語学修士号・日本語能力試験一級・ニュージーランド翻訳通訳協会役員・ニュージーランド翻訳通訳協会カンタベリー支部長・テコンドー、柔道、合気道初段・趣味はサーフィン、仕事、DIY
Website: transnational-ltd.co.nz
Email: enquiries@transnational-ltd.co.nz
Toll free: 0800 000 339

インタビューを終えて:
トーネン氏から何度も発せられた言葉、「品質」。別の意味でそれは「スタッフ」ではないかと思う。翻訳や通訳は1文字違うだけでも意味が異なる場合があるし、裁判となれば勝ち負けが決まる訳である。高い品質を保つためだろう、笑顔の奥に仕事への厳しさを感じた。

この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.100(2018年7月号)」に掲載されたものです。

投稿者: kjadmin