ニュージーランドで夢のマイビジネス vol.2

ニュージーランドの雇用法を知る

雇用契約法から

雇用関係法へ

 

雇用に関する法律「雇用契約法」は、労働組合側主導のものから雇用者側主導のものへと大きく変化し、2000年3月、政府は雇用契約法を廃止、同年10月に新たに「雇用関係法」を成立させた。この時から、労働組合を介した集団交渉による労使関係から雇用者と被雇用者との契約関係になった。

この雇用関係法は、良好な雇用関係のため、雇用が「相互の信頼・信用関係」「公平な交渉」であり、単なる契約もしくは経済的な関係ではないとした。また2004年12月に改正、施行された雇用関係法改正法では、「誠意ある交渉」「問題の解決」「企業売却時の被雇用者の保護」なども強化されている。雇用関係法の主な特徴は、次のとおりである。

 

1)誠意ある交渉(Good Faith Bargaining)

雇用関係の当事者である雇用者と被雇用者(組合)が、互いに誠意を持って交渉することを基本原則とし、公正と相互信用・信頼に基づくものとしている。また、雇用関係の当事者は、相手の提案や要求に対して話し合い、真摯(しんし)に対応しなければならないとしている。また、違反した歳には罰則が科せられる。

 

2)雇用契約

通常、採用が決定した場合は雇用者は被雇用者と契約(Individual Employment Contract)を結ぶことになる。特定の組合の組合員の場合、集団契約の雇用条件に基づいた契約が適用される。

 

3)個人的陳情(Personal Grievance)

雇用関係法では、雇用に関する個人的陳情などの問題解決に、行政機関の調整サービス(Employment New Zealand-Mediation Service)や雇用関係局(Employment Relations Authority)などによる調停を重視され、解決されなかった場合は、雇用裁判所に持ち込まれ、最終判断を仰ぐことになる。

その他、ストライキや労働組合についても定められている。

参考:Employment New Zealand (www.employment.govt.nz)、Employment Relations Authority (www.era.govt.nz)

 

雇用契約書

ニュージーランドにおける雇用法や雇用契約書などの基本的な知識について、特に雇用契約書に記載すべきポイントや被雇用者との間で問題が起こった場合の解決方法、解雇の手続きなどをわかりやすく説明する(以下、ローズバンク法律事務所 ウェブサイト記事より一部抜粋)。

 

雇用契約書に関して

会社が従業員を雇用する際には、書面の雇用契約書が必要であると法的に規定されている。

(※口頭での契約も法的には有効な契約と見なされますが、後で何か問題が起こったときに書面の雇用契約書がない場合、罰則を受けるのは雇用者のみとなる。契約時にはその点を注意する必要がある)

 

雇用契約書を作成

以下の内容を検討した上で、作成する

・90日間試用制度

・休日(年次休暇、忌引、病欠休暇、休日勤務手当ての規定)

・育児休暇

・最低賃金ー成人の最低賃金は1時間当たり15.75ドル(2017年10月10日付)

 

雇用契約を結ぶ際

雇用者は、被雇用者に雇用契約書を見せて署名をもらうが、その場ですぐに署名を求めず、

「専門家のアドバイスをもらって、契約書の内容を確認し、納得してから署名をしてください」と被雇用者へ必ず進言することをおすすめする。

後日、問題が起こった時に「雇用契約書の内容がよく分からなかったが、雇用者からその場ですぐに契約書にサインせよと言われたので、サインした」「契約の時点でそんな話は聞いていない」など、被雇用者から訴えがあった場合に、トラブルを回避することができる。雇用者側は、起こり得る事態を想定して、契約時に給与や勤務時間、業務内容など他の部分に関しても被雇用者へ説明しておく必要がある。

 

問題が起こった時

雇用法は、被雇用者が雇用法の内容をよく知らないかもしれない、ということを前提とした法律なので、問題が起こった時の仲裁手続きや相談機関などの連絡先についても雇用契約書の中に記載しておく必要がある。

まず、従業員が仕事上や職場について不満に思う或いは納得できない事がある場合、90日以内に会社の直接の責任者に伝える。それに対し、会社の責任者は迅速に必要な調査を行い、これに応える義務がある。

会社の責任者の対応が不十分であったり、問題が解決されていないと従業員が考えるときは、従業員は

行政機関の調整サービス(Ministry’s Service Centre or Employment New Zealand-Mediation Service)へ相談することになる。ここには雇用問題の調停を扱う日本語でいうところの調停係官(Labour Inspectors)が担当し、相談された問題が従業員の権利侵害に関する問題の場合、調停係官は調査を行い、何らかの決定を下す。

それ以外の問題の場合、無料の調停(Mediation)が行われる。無料の調停は日本の調停とは少々異なる制度で、調停係官を挟んで当事者が問題点を話し合い、それぞれの弁護士が同席することも珍しくない。

調停係官は、問題点の整理をして当事者間の解決促進を図るが、無料の調停の場合、問題への結論を言い渡す権限ははない。ただし、雇用に関する問題の場合、調停係官はこの問題が雇用裁判所へ行く前の調停機関(Employment Relations Authority)で審議された場合、どのような結果になるかについて、アドバイスすることができるとされている。実際には、よほど大きな問題でない限りは、調停係官のアドバイスを受けることにより、当事者間での調停は成立することが多いようである。

 

解雇

被雇用者の仕事内容や態度に問題があるなどにより、雇用者が解雇を考えるときには、確立された慎重な手続きが雇用法に定められている。雇用法の根底には、適正な手続きを経なければ、正しい結論は導けないという極めて合理的な考え方が流れている。従って、雇用者が解雇の問題を扱う際には、その内容と同じくらい手続きが重要であることを、あらかじめ知っておく必要がある。雇用者が出した解雇という結論が、被雇用者の行為に対して妥当なものであるとしても、その結論に至った過程が適正な手続きを踏んで行われたものでなければ、雇用関係局(Employment Relations Authority)から不当解雇と見なされる或いは不十分な手続きに対する罰金の支払いを要求されることになる場合もある。

 

解雇の手順

口頭で注意をする

文書を送る(1回目)

雇用者は、被雇用者の勤務内容について不十分であると思われる点があり、そのことについて話し合いを目的とした会議を行いたいという内容を記載した文書を送る。なお、書面には、被雇用者が信頼するサポート役を連れてきても構わないと記載しておく。

 

会議。話し合いをする(1回目)

雇用者は、被雇用者に対して、問題と考える部分を明確に述べ、期限を定めた上での改善を非雇用者へ伝える。同時に、改善するための援助や指導を行うことも伝える必要がある。

 

文書を送る(2回目)

期限とした期日までに改善が見られないと判断した場合、再度、正式な会議を持ちたいとする旨の文書、1回目と同様な文書を書面で送る。

 

会議。話し合いをする(2回目)

再度の会議にて、雇用者は前回要求したにも拘らず、改善がなされていないと考える問題点を具体的に指摘し、被雇用者の意見を求めます。この意見を踏まえ、さらなる援助や指導を行う。

 

会議。話し合いをする(3回目)

一定期間経っても改善が見られないと考える場合は、最後の会議を持った上で、「解雇」の通知を文書で伝える。

 

 

職場での暴力行為や窃盗などの重大な違法行為(Serious misconducts)に関しては、前述のような手続きなしで「即、解雇」となる場合もある。

雇用者は、被雇用者の理由に耳を傾ける姿勢を示すことが重要で、実際の職場ではこの判断が難しいのも事実である。職種によっても、内容が異なる面があるので、何がSerious Misconductsに相当するかなど、あらかじめ雇用契約書の中で明確にしておきたい。

 

出典:ローズバンク法律事務所 ウェブサイト記事より一部抜粋(www.rosebanklaw.co.nz

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知っておきたい

ACCとKiwi Saverのこと

 

雇用者が被雇用者に対して負担するものがあり、ひとつは被雇用者の事故補償制度のACC、そしてもうひとつが年金保険制度のKiwi Saverである。ここではこの被雇用者を守るこの二つの制度について説明する。

 

事故補償制度(ACC: Accident Compensation Corporation)

この制度は、ニュージーランド国内で自動車事故を含む事故などで発生した傷害に対して補償をするもので、運営しているのは行政機関(Crown Entity)でもあるACC (Accident Compensation Corporation)である。

 

運営資金

雇用者や被雇用者の給与や国の財源により運営されている。

雇用者の場合:給料から天引きされ、支払う。

会社や自営業者の場合:ACCからエーシーシー・レビー(ACC  LEVY)を計算した請求書が届くので、支払う。また、被雇用者から天引きした費用を税務署(IR:Inland Revenue)に支払う。

収入のない主婦や子ども、学生、旅行者の場合:車の登録費用やガソリン代などに含まれている税金で支払うこととなる。

※ 被雇用者が、給与から天引きされて支払うACCの金額(Earner Levy)は、一律で100ドルに対して1.36ドルとなります。雇用者が支払うACCの金額(Workplace Levy)は、職種によって支払額が変わります。例えば、林業労働者の職種は事故が多いのでWorkplace Levyが非常に高く100ドルに対して3.30ドル、オフィスワーカーの職種は事故が少ないのでWorkplace Levyが低く100ドルに対して0.28ドルと決められています。支払額はそれぞれの職種のクレーム履歴で決まっています。

 

 

適用対象

ニュージーランド国民と永住者、観光などで一時滞在している外国人。

 

対象例

就業中の事故や自動車事故、スポーツ時の骨折など、発生した傷害に対してが対象となる。補償対象は傷害だけで、病気の場合は対象外である。

 

補償内容

治療(救急・入院費用など)、リハビリテーション(車椅子や用具の支給、住宅改造など)、所得保障(休業期間中の補償)、死亡した際の葬式費用など多種にわたる。自動車事故での加害者や被害者、過失の有無に関わらず、事故の被害についての補償も受け取ることができるので、自動車事故による損害賠償を問わないとしているのも特徴である。外国人で、本国に戻るための渡航費などは対象とされていない。

 

申請手続き

事故発生後12ヶ月以内に、自らまたは受信した病院などからACCにクレームの申請を行う。

申請を受理したACCが審査を行い、補償の対象か対象外かの回答が書面で届く。対象になった傷害に対して、ACCのクレーム番号が付けられるので、補償期間などに応じて継続した治療を受けることができる。病院によっては、手数料などの自己負担金が発生する場合もある(対象外の場合は、治療費の支払いが発生することになる)。

 

 

参考:www.acc.co.nz

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キゥイセーバー(Kiwi Saver)

 

2007年7月1日から任意の年金保険制度のキウイセーバー(Kiwi Saver)が開始された。

これは、18歳から65歳迄の全ての労働者を対象とし、国民の貯蓄率アップ、退職後の生活や、初回の個人住宅購入補助を目的として設立された「給与天引き個貯蓄優遇制度」である。積み立てたお金を65歳以降になったら引き出せる任意加入の個人年金で、国民と永住者が対象である。

キウイセーバーの支払いは、政府(保険者)に対して、支払う人(被保険者)が65歳になるまで、もしくは加入が61歳以降の場合は開始から5年間続けなければならない。

参照:Kiwi Saver(www.kiwisaver.govt.nz)、Inland Revenue(www.ird.govt.nz

 

※  国民年金のニュージーランド・スーパーアニュエーション(New Zealand Superannuation)とは異なる。国民年金は、税金が根源であり、条件を満たした場合、65歳から国民と永住者に支給される。

参照:work and Income(www.workandincome.govt.nz

 

新しく職に就く人(転職も含む):自動的に最低2週間キウイセーバーに加入し、8週間の間に継続するかどうかを決定しなければならない(尚、継続しない場合は支払った保険料は払い戻される)。

 

すでに就業中の場合:自動的に加入されないが、いつでも加入することが可能である。

 

自営業者の場合:各自で加入することが可能である。

 

支払い方法:キウイセーバー新規加入者は、保険料の支払額を給与の3%、4%、6%、8%のいづれかに決め、雇用者は所得税と一緒に税務署に支払い、税務署は、受け取った保険料を選択された保険会社に支払う。

 

保険会社の選択:被保険者本人が選択する。被保険者が選択しない場合は、雇用者または税務署が選択し、雇用者は従業員のために保険料を払うことが義務づけられている。現在は給与の3%です。

 

保険加入後12ヶ月を経過すると、3ヶ月から5年間保険料支払いを一時停止することができる。

もし永久に日本に帰国する場合には、この年金保険を解約することが可能。

また、この保険加入後3年経過した方は、初回の個人住宅購入の際に頭金として貯蓄の引き出しが可能となります。政府からも住宅購入の補助として年金保険加入後1年毎に1,000ドル、最高5,000ドルが支給されます。新築の場合で条件を満たしていれば、支給額が倍になる。

例えば、加入してから4年後に初マイホーム(中古)購入の場合は、政府から4,000ドルが支給される。

夫婦のように、加入者が2人の場合は8,000ドルが支給される。

 

財政年度内に(7月~6月)自分で積み立てた額の合計が1,042.86ドル以上の場合、国から年間最大521.43ドルのタックスクレジットが支払われる。

 

出典:WH Accounting & Advisory(www.whaajapan.nz

 

この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.92(2017年11月号)」に掲載されたものです。

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