国内移住してみませんか「パーマストンノース・ビジネス編」

 

 

多くの日本人にとって、ニュージーランド移住とはまずNZに移り住むことであり、ではNZのどこに住むのか?といえば、就職が決まった場所、もしくは就職のチャンスが多い都会、あるいは以前に留学した場所、もしくはワーキングホリデーなどの短期ステイなどで気に入った場所に住むというケースが多いのではないでしょうか?
主要都市以外の市町村に居住する日本人は決して多くはありませんが、その場所での住み心地や生活環境は、そこに知人でもいない限り情報としてはなかなか入ってこないもの。そこでKiwi Timeでは、多くの在留邦人にはまだ知られていない中小都市にフォーカスをあて、「そこで働けるのか、移住できるのか?」の観点で、紹介していきたいと思います。

 

 

ビジネスの街としてのパーマストンノース

パーマストンノースはどんな街?

パーマストンノース市はニュージーランド北島の南部に位置する、NZ第8番目の都市。3つの高等教育機関を抱える学研都市として、そしてNZの酪農と流通の要所として広く知られており、人口8.7万人という小都市にも関わらず、市内にはトヨタや日野などの日本企業、Higgins、FMGなどのニュージーランドを代表する企業が本社を構えています。この小都市は起業の街としての側面もあります。世界を代表する医療企業グラクソ(GlaxoSmithKline=日本では風邪薬のコンタックやアクアフレッシュ等で知られる)はここパーマスンノースが発祥の地。オークランドでも、クライストチャーチでもないこの地方都市の魅力に迫り、この地に日本人が起業して定住することができるのか?を、市のビジネス推進機関であるCEDAのブライアン·サミ氏の案内を通して検証してみたいと思います。

数字で見るパーマストンノース

パーマストンノース三大産業は:
1 酪農・フードサイエンス
2 流通・運輸
3 政府関連(教育、軍事)

地元民に聞きました:
91% -子育てに最適な環境だと考えている
76% -マナワツに住んでいることを誇りに思っている
70% -市に娯楽が少ないと感じている
49% -各産業に専門家が足りないと感じている
40% -NZにおける認知度が低いと感じている
(2016 survey by CEDA)

 

 

パーマストンノースの起業(または就職)チャンス
大企業本社や研究機関が多いこの都市では、専門分野に知識と経験があれば雇用につながりやすいこの街ですが、外国人が起業するとなるとどのような分野にチャンスがあるのでしょうか?

◇在宅ワーク:IT関連、輸出入関連、デザイン職など
パーマストンノースの大きな魅力は不動産物件の価格と賃料の低さと物流の利便性にあると言えます。在宅ワークが可能な場合、この住環境が大きな魅力。
-【CEDA】ITや輸出入代行、グラフィックデザイン等ですでに起業済みの場合、「本当に今いるその場所でなければならないのか」を考えてみてください。オフィスの賃料、住まいの家賃やホームローン、交通費、通勤時間、パーキング、雇用している場合は人件費、そして特に家族がいる場合は、安全性や住環境、自然環境など、総合的に現状を見つめ直してみるのもいいかもしれません。

◇農業関連全般:アグリビジネス
パーマストンノースが位置する北島南部はマナワツ地方と呼ばれ、酪農が盛んな地域のひとつ。永住権があり、資金が準備できれば、ファーマーへの道も開かれる。
-【CEDA】アグリビジネスは実際のファーム作業だけでなく、リサーチや運搬、機器調達など農業関連で幅広くビジネスチャンスがあります。この分野で起業を考えいる方にはファンディングを行っている機関がありますので参照してください。リサーチで起業するのは現実的ではないですが、研究機関、施設が多いこの市では、研究者が活躍できるチャンスがたくさんあります(http://www.thebcc.co.nz/)

◇小売販売・ショップ:小売店
チェーン店ではないブティックや雑貨店が点在するパーマストンノース。既製品でない、個性を生かしたファッションが受け入れられるのもNZでは。
-【CEDA】NZは起業しやすい分、十分なリサーチやマーケティングを行わないままビジネスをスタートさせるケースがとても多いのはご周知の通りです。パーマストンノースのような小都市では潜在的顧客が多くはないため、安易な小売店開業はお勧めしません。毎年多くの小売店がオープンし、1年もしないうちに消え去っています。商品がユニークでかつこの地域で受け入れられるか?のリサーチが不可欠となってきます。

◇フード&ホスピタリティー:レストラン、カフェなど
パーマストンノースに訪れるとまず驚かされるのが、市の人口比に合っているとは思えないほどのカフェ・レストランの多さではないでしょうか。
-【CEDA】ここ10年で街の国際化が進み、エスニック系レストランの数やバラエティーもとても増えました。和食レストランに限って言えば、日本人経営店はとても少なく、市の初めてのラーメン専門店が最近市内最大のショッピングセンター内に出店し評判になっています。パーマストンノースの食文化はまだ発展中ですが、高いクオリティーやユニークさを前面に押し出すことができないと淘汰される傾向があります。それは観光客が多い街や大都市と異なり、リピーターがつかないと経営が成り立たないためです。調理師免許所持者ならば自らが調理師/オーナーとなってビジネスを起こすこともできますが、既存のビジネスも多く売りに出ているため、新たな物件探しや初期設備投資のリスクを避け、ビジネスを買い取りマネージするというオプションも考えられます。

◇物流・ロジスティックス:倉庫管理、ドライバーなど
NZ随一の交通要所であるパーマストンノースには、EziBuyに代表される大規模な物流センターと運送会社の基地が数多くあります。
-【CEDA】すでに大手運送業者が基地を構えるパーマストンノースでは個人の配送業を成功させるのは難しいかもしれませんが、ドライバー、運搬·運送、倉庫に関わる募集は十分にあります。CEDAでは2016年にロジスティックスに焦点を当ててリサーチを行いましたが、84%の企業が「外国人スタッフを探している」、そして96%が「外国人スタッフを雇用するのには全く問題ない」と答えています。新しい文化や言語、職業倫理感が学べるという利点を挙げている反面、実際に外国人雇用を行なった結果「満足している」と答えたのが全体の56%のため、改善の余地がありそうです。

◇トレード・職工:大工、溶接、塗装、水道、屋根職人など
ポリテクニックなどの職業訓練学校でCertificateやNational Diplomaを取得し、フリーの請負業としてビジネスを始めるケースは、この町でもポピュラーです。
-【CEDA】ネイピアやオークランド方面に続く幹線道路の峡谷部分が土砂崩れで崩壊後、復旧作業自体が取りやめになり、新たな道路建設が計画されています。今後インフラクチャー整備のために、多くの職工、技師が必要となってくるため、建設経験者には大きなチャンスとなりそうです。

◇ツーリズム:ツアーコーディネーターなど
海外はもとより、国内からの旅行者も少ない、ウェリントンからの「通過点」「中継地」という印象が拭えないパーマストンノースですが…。
-【CEDA】パーマストンノースやマナワツ地方を、観光地として活性化するために、新たなツーリズムビジネスが求められています。海や山の大自然にほど近い地の利を生かしたアウトドア·アドベンチャー系のビジネスは大歓迎です。

◇ハウジング:不動産:家賃収入、リフォーム物件販売
「家は買うもの」が実践されているパーマストンノース。住宅物件価格も全国比ではかなり低いものの、価格上昇率も安定しているために投資対象としても最適。
-【CEDA】この国では持ち家保持者が副収入のためにセカンドハウスを購入し、大家として家賃収入を得たり、安めの中古物件を購入後、自らリフォームし、さらに高い価格で転売するケースが少なくありません。ビジネスプランと銀行とのローン限度額の交渉次第ではありますが、パーマストンノースでは一軒家を4~5軒または集合住宅を購入し賃貸用に運営すれば、メインテナンス費との差額を考慮しても十分ビジネスとして成立するはずです。市内には2つの大規模高等教育機関、周辺地域には軍施設やキャンプがあるため、住宅物件のニーズは安定しています。地域の経済も好景気を維持しているため、資格取得者には不動産エージェントとしての就職にも好状況となっています。

他にも…
街の中心部からマッセイ大学に向かう大通りの沿道と、ウェリントン方面に向かう幹線道路沿いには多くの宿泊施設が立ち並びます。特に観光地でもないパーマストンノースにホテルやモーテルが多いのは、ニュージーランドの中心という地の利で年間を通して多くのビジネスコンベンションや学会が開催されるためであり、大企業や大学などが転出しない限り、比較的安定したビジネスと言えます。新規モーテル建設も行われていますが、ビジネス売買のケースも頻繁に行われているため、資金が準備できる方にはどちらも選択肢になり得ます。

この街ではヘアサロンとフォトスタジオをよく見かけますが、これは地元ポリテクニックやトレーニングスクールがプログラムを提供しているため、卒業後もこの地に留まり起業するケースが多いからです。高いスキルはもちろんのこと、生き残るためにはコミュニケーション力やサービスも重要な要素です。

 

協力:

CEDA(Central Economic Development Agency)

Regional Business Advisor, Brian Samiさん

CEDAによるビジネススタートの案内や、サービス内容NO詳細についてはCEDAのウェブサイトをご参照ください。

http://ceda.nz/do-business/


イラスト:はとり

獣医になりたくてニュージーランドに大学留学。夢叶わずも他学部で卒業、結婚。気がつけば三児の母。インスタグラムで子育て絵日記を公開中(@hatori_co)。

この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.95(2018年2月号)」に掲載されたものです。

投稿者: kjadmin