自分年金のつくり方(後編)

自分自身で準備する「自分年金」。前号でご紹介した公的年金(NZ Super)と個人年金(KiwiSaver)、そして生活資金などの基本的な費用に加え、今号では、貯めるのではなく、自らお金を「つくる」暮らし、老後の資金と近況の地域別不動産販売価格などをご紹介します。

老後の不足額」はどのくらい?

公的年金などの収入から、生活費などを差し引いて充分な金額がある場合も含めて、老後資金は多くて困ることはない。できるだけ早い時期、例えば40歳から毎週50ドルを積み立てていけば、1年間で2,600ドル、20年間で52,000ドル。それだけでも老後資金の不足額をカバーできるが、実際に貯金するのは難しいのが現実です。

老後の不足額がわかったら、3ステップで資金つくり

1、65歳までの間できるだけ長く働くか副業で「収入を増やす

2、保険の見直しや住宅ローンの借り換えなどで「支出を見直す

3、不動産投資や株式などで「お金を運用する

上記1と2は、すぐに始めることができ、資金対策の第一歩としても一番の特効薬といえる。そして次なるステップ、3の運用で、少しでも手持ち額を増やして、充実した生活を迎えたい。


70代のお金と暮らし、教えてください!

老後にお金を用意するのではなく、不動産に投資をして、お金が入る仕組みをつくったケース。

ケース1:A氏(78歳、男性、オークランド在住、パートナーと2人暮らし)

55歳で早めの退職をしたA氏。日本で会社勤務をしていた頃に、ニュージーランドドルを外貨預金していたこともあり、退職金も外貨預金に預けたそうだ。「当時は金利も為替もよくて、ニュージーランドの1ドルが日本円では50円前後の頃でした。日本に住宅を持っていましたが、思いきってニュージーランドに一戸建てを購入しました」日本的というか、住宅部分より土地の広さを意識して購入したそうだ。敷地面積は1100㎡、住宅を2軒分建てることができる十分な広さだ。「不動産は、場所を選べば極端に下がるとは思っていません。オークランド中心地から車で30分程かかりますが、最近では店舗や新築の住宅も増えていて、開発されてきているようです。80歳を前にして、庭の手入れが大変になってきたので、売却するよう進めています。その売却資金で購入できる範囲、コンパクトな家に移り住み、余金は、少し自由に使える老後の資金にと考えています」購入から10年以上経過した現在では、購入時の2倍の不動産評価額になっているそうだ。不動産の投資は、条件の揃った物件を選ぶこと、信頼の置ける不動産エージェントをパートナーに持つことが大切だと話してくれた。


不動産に投資する。将来の安心、夢の実現を確実にするために

近年の不動産価格の上昇により、主要都市で不動産を購入することが難しくなりつつある。賃貸で、値上がりするかもしれない家賃を生涯支払わなければいけないという不安より「所有する住宅」があった方がベストだということわかっているが、果たして投資や新規で購入できるのだろうか。もしオークランドで無理でも、あの街では購入できるかもしれない!ということもある。

投資や老後の移住というオプションも視野に入れ、「老後資金」を前もって準備しておくことが大切だ。老後生活に入る前には返済が終わっていることはもちろんだが「資産価値が残っていること」も重要なポイントであることを忘れてはならない。

出典:Real estate institute of new zealand(www.reinz.co.nz)


不動産売買の実績・動向を各種メディアで確認

不動産の専門家がウェブサイトや冊子などに、日本人向けに寄稿している記事からも情報入手が可能。具体的に分かりやすく説明してあるので、定期的にチェックしておきたい。

いま最も投資に適した地域はどこか?

ホットな開発地区「南オークランド」

執筆:一色良子(不動産販売仲介会社フランチャイズグループ「Harcourts」New Lynn支店)

筆者が所属している不動産のフランチャイズ会社では、四半期ごとに表彰式があり、セールスの成績によって個人およびフランチャイズオフィスが選ばれます。参加者たちは表彰結果を通じ、「その時期のホットな営業成績地域」を知ることができます。

この5年間で多く表彰台に上がっているのは、南オークランドの地域、パパクラ、マヌエラ地域の個人セールスマンたちやオフィスです。そして、販売された物件の地域とも、しっかり合致しています。売買が盛んに行われているということは、それだけ開発が進み、勢いよく宅地造成されていることの証左でもあります。

敷地内には16戸の2LDKが建設され、4LDKも4戸、今後さらに2~4LDKの物件10戸を計画中です。若いファーストホームバイヤーや、リタイア組の熟年層に適した物件です。

近隣には商店街があり、高速道路の出入口へも近く、交通の便は良好。実は、8戸まとめて一気に購入していった投資家もいます。またつい最近、弊社では2戸まとめ買いした投資家のお手伝いもしました。この記事が出るころはきっと、この16戸は完売していることでしょう。

次に予定されている、販売価格60~80万ドル台の10戸の建築も待ち遠しく思われます。市内のアパートとくらべると、ゆったりした感があるため、投資家や自己居住者のニーズに合致した物件のひとつであるといえるでしょう。“


引用:カンタベリー日本人開会報「ひろがり102号」2019年5月付。執筆:嶋崎カズノリ(不動産販売仲介会社Ray White Metro)

70代のお金と暮らし、教えてください!

老後にお金を用意するのではなく、不動産に投資をして、お金が入る仕組みをつくったケース。

 ケース2: B氏(50歳、オークランド在住、1人暮らし) 

20年前に永住権を取得、同時にオークランドセントラルの中古アパートメント、3年前に新築アパートメントを購入したB氏。「貯金のつもりで購入しました。最初は8%の利息で借り入れ、返済はきつかったけど、何回か仕事先を変更して給与アップ、3年前に完済しました。ブローカーの方や銀行の担当からアドバイスしてもらいながら、返済の借り換えもしました。返済して、元金が減るのが嬉しかったですね。3、4年前のオークランドセントラルでは、建設ラッシュというか、いつの間にかビルが無くなってアパートメントが建つという時期でした。友人と一緒にモデルルームに行き、何もない状態、パンフレットだけで購入を決意、銀行に借り入れができるか確認して、購入の契約をしました。もうすぐ完済という時期に、さらに借金して返済できるのかと不安がありましたが、賃貸収入で老後を暮らそうと考えていましたから、頑張りました。購入して間もなく、建物がない状態でしたが、評価額が上昇。不安と興奮とが交差していました。入居できるまでに3年ほど掛かったので不安もあり、建設会社関連のニュースはよく読んでいました。今では無事に新築に入居して、前のアパートメントは賃貸にだしています。セントラルなので、入居する方は早く決まりました」キーウィセーバーを一番低い利率で預金、賃貸収入と給与をあわせて、銀行の返済分を早く終わらせるように倹約しているそうだ。

不動産からの定期的な収入は、支給年金の目減りや受給年齢の変更が言われている現代には、とても魅力的である。もちろん、大規模修繕費用や価格の下落など、メリットデメリットの両方をじっくり検討した上で、今後投資対象とするかどうかを考えていただきたい。


地方に暮らす。将来の安心、夢の実現を確実にするために

ニュージーランドで老後を迎えるなら、いかにも「NZらしい」生活を始めてみるのも一案かもしれない。キウィが不動産売買の会話をする際に、よく持ち出す例に「1ミリオンあったら」というのがある。「オークランドでは1ミリオンあっても…、でも◯◯市では、5ベッドルームでバスルームも2つあって、プール付きで、おまけに眺めが…」というあれである。住環境や仕事など将来の人生設計における優先順位を決め、自分が望むライフスタイルを営むためのオプションを考えてみよう。

参照:Productivity commission analysis of statistics New Zealand data.

立地の良さとその物件固有の魅力があれば、安定して家賃収入を得られることができる。早い時期に、住む家とは別に不動産を購入することで、老後に「大家業」を楽しむことも可能

「買った家に住まなければいけない

ことはない

主要都市か地方か。

職探しが難関な地方移住たが、工夫と努力次第で、状況は変えることができる。高収入を得るために過剰労働や時間に追われる生活を自ら捨て、地方で生活を送るという生き方もある。地方でも主要都市でも、生きるためには、生業が必要だ。「大家業」いいかもしれない。

この記事は、ニュージーランドのビジネス系無料雑誌「KIWI TIME Vol.111(2019年6月号)」に掲載されたものです。

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