ニュージーランドで夢のマイビジネス

ニュージーランドで
ビジネスを始める場合、
流れは大きく3つに分けられる。

1:現地法人の登録
2:オフィスや店舗の場所の決定
3:従業員の雇用

まずは現地法人の登録を行い、次にオフィスや店舗など、開業するための場所を探す。従業員を雇う場合は、ニュージーランドの雇用法や雇用契約書などの基礎知識が必要になる。従業員が永住権保持者でない場合は、労働ビザを申請・取得しなければならない。

資金を借りる必要がある場合は、
ニュージーランドの銀行でローンを組むことになる。
●銀行ローン
銀行より資金を借り入れる場合、金額、期間、利子などは直接銀行との話し合いで決定されるが、実際の手続きは弁護士を通じて行われる。借り入れをする会社は、この弁護士よりあらためてローンの詳細について説明を受け、所定の書類にサインをする。サインされた書類はその法律事務所から銀行に送られ、借り入れの資金もその法律事務所のトラストアカウント(銀行口座)に送られてくる仕組みになっている。

また、既に存在するビジネスを購入する形で
自身のビジネスを開始するのも一般的だ。ただし、これは会社を買い取ることとは全く異なるため、それぞれの法律知識が必要になるほか、複数の関連会社と契約を結ぶ必要性がでてくる場合もある。よって起業を円滑に進めるためには、弁護士や各専門家の助言を受けながら進めることをおすすめする。

●弁護士への依頼内容
ビジネス売買時の契約書作成または検討、ビジネス全体のDue diligence(賃貸契約書の確認と売上高の確認、雇用契約書の確認、建物関連のCCC確認などの契約条件の確認と履行)銀行融資の確認、譲渡契約書の作成、売買金銭のやり取りなど

●会計士への依頼内容
賃貸物件、ビジネスの売却、財務計画、ベンチマーキング、会計帳簿、会計処理年次会計報告書、所得税の確定申告、税務局とのやりとり、税金支払い、ACCへの支払い管理、GST申告と月次会計報告書、給与や会計ソフトウェアの手続きなど

現地法人の登録をする
現地法人の登録は、ニュージーランド・カンパニーズ・オフィス(New Zealand Companies Office)のウェブサイトから可能。登録費用はReserve a company name $11.50とCompany Registration fee $120.75(専門家に要確認/2017年10月現在)。ダイレクターの登録、誰が株主で何株の株式を所有するかどうかなどの会社構成など、あらかじめ明確にしておきたい。

●主要な企業形態
・有限責任会社(Limited Liability Company)
・自営(Sole Trader)
・パートナーシップ(Partnership)
※そのほか、現地法人、支店、個人事業主、信託(Trust)などがある。

●事業形態
上場、非上場ともに有限責任会社の支店を登録する際は、次の要件が必要となる。
・最低1人のニュージーランドに居住する取締役、もしくは
・最低1人のオーストラリア在住オーストラリアの会社の取締役の兼任
※会社が設立された場所や取締役の変更などがあった際は、登録の変更が必要になる。

現地法人の登録申請後は、IRD番号の申請、GST登録、雇用者の登録など、税務局で必要となる登録をすべて行う。また、ビジネスプランの作成と、ローンや給与支払いなどのため銀行口座も開設する必要がある。

●ビジネスプランの作成について
参照:https://www.business.govt.nz/

●支援資金の受け入れやアドバイス
参照:https://www.workandincome.govt.nz/

オフィスや店舗の場所の決定
適切な場所を見つけた後、リース契約をする前に、店舗などの賃貸契約書(Deed of Leased)についてしっかりと法的手続きを済ませないと、困ることがあるので、いくつかの注意事項を押さえておきたい。

例えば、十分に賃貸契約書の内容を確認せずに署名をしたが、残りのリース期間が満了する前に退去しなければいけないRedevelopment条項を見落としたり、家賃のレビュー(Rent Review)を通じた賃貸料引き上げが、途方もなく高くなるなどの問題が発生することがある。したがって、リース契約に関連した事項は、事業運営と損益関係に大きな影響を与えることができる要因であるので、特に注意する必要がある。

リース契約を行う際にしっておかなければいけない事項を例に挙げてみると、現在の賃料が年間いくらなのか、賃貸契約の期間はいつまでか、数回の延長の権利があるのか、賃料はいつどのような方法で策定されているのか、リース契約の条件に不利な点がないかなど、専門家のアドバイスを受ける必要がある。

従業員の雇用
従業員の採用後、給与の支払いについても様々な注意点がある。一般の従業員の給与は、雇用主が給料から税金(Pay As You Earn、PAYE) を差し引いて税務署に払う。雇用主の場合は、雇用主自身が給料を受け取ったあと、PAYEを引いて税務署に払うか、Provisional Taxという税金を払うことも可能。

また雇用者は、従業員のためにACCとキウィセーバーを払うことが義務づけられている(Employer Contributions)。

●キウイセーバー
18歳から65歳までの全ての労働者を対象とし、ニュージーランド国民の貯蓄率アップ、退職後の生活や、初回の個人住宅購入補助を目的として設立された任意の年金保険制度。今後新しく職に就く人(転職も含めて)は、自動的に最低2週間キウイセーバーに加入し、8週間の間に継続するかどうかを決定しなければならない。

最後に、会社設立後は、毎年、登記局へ会社登録更新申請(Annual Return)を行わなければならない。怠ると登録が取り消されてしまう。また、会計年度終了後、一定の基準を満たす会社は、財務報告をする義務があるので注意しよう。

監修:
ユウジニー・チョイ(Eugenie Choi)┃弁護士(NZと豪州ニューサウスウェールズ)
LLB(オークランド大学)、MA修士課程在席(日本語)、BA(日本語専攻、中国語専攻)
Hemaru Law 代表
2008年弁護士資格を取得、2014年にHemaru Law法律事務所を開設。不動産法やビジネス法、移民法や信託&財産、家族法など多数にわたり対応。韓国統一諮問評議会(NUAC)とニュージーランド韓国人女性会に所属。ニュージーランド韓人会紛争調整委員会の副会長として、またKorean SchoolのBOT committeeの委員として活躍。趣味は読書と歌うこと。

ウォレン ハーディー (Warren Hardie)┃公認会計士
BCA, CA, Director
WH Accounting & Advisory代表
1990年代後半からクライストチャーチを拠点に会計士をしている。特に、個人経営者や中小企業を対象にした税務や財務のアドバイスを専門にしている。日本語が堪能で、ニュージーランドや海外でビジネスや国際投資を行う日本人の顧客との関係を発展させてきた。趣味は、ピアノパフォーマンスの学位を持つ音楽やガーデニング、トランピングやラグビー観賞など。妻、10代の子供2人の4人と数種類の動物達と一緒に暮らしている。

この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.91(2017年10月号)」に掲載されたものです。

最新情報をチェックしよう!
>雑誌「KIWI TIME」について

雑誌「KIWI TIME」について

2010年創刊。雑誌「KIWI TIME(キウィタイム)」は、K&J MEDIAが毎月発行するビジネス系無料雑誌です。ビジネスに関する情報やインタビュー、仕事の息抜きに読みたくなるコラムが満際です。

ニュージーランドで起業している方や起業をしようと考えている方を応援します。

CTR IMG