映画から感じた日本における差別について(学生の感想文より)|ARAtime

日本における差別問題は現代でも根深いものがあります。「死」が不浄とされてきた近世から現代までの死生観や宗教観、職業、家柄など、さまざまな要因でさまざまな差別が生まれ、また中央政府や幕府からも差別が政治的に利用されてきた観もあります。日本人でも理解するのが難しい、日本の差別問題ですが、映画「おくりびと」を観たキウィの目にはどう映るのでしょうか。

ARA日本語科3年生のエマ・レナードさんが、映画「おくりびと(2008年)」を鑑賞して書いた感想文の一部をまとめました。

「美香(主人公の妻)が納棺師として働く大悟(主人公)に「そんな汚らわしい仕事は辞めて」と懇願するシーンがある。大悟が慰めようとすると、美香は「触らないで!汚らわしい!」と叫ぶ。山下という友人に出会った時のシーンでは、山下は大悟に「もっとましな仕事に就け」と言う。美香にとって夫の仕事は恥ずべきものだと感じ、結局、東京に帰ってしまう。

日本の社会史の中でも、江戸時代にはシステム的な差別があったのは知っていたが、現在でも特定の職種に差別があるということは、この映画で初めて知った。ニュージーランド人の私にとって、このような差別には理解し難いものがある。私が知っている限り、ニュージーランドでは「死」に関する仕事をしている人にこのような差別意識を持っていないと思う。「納棺師として働く」と言われたらある程度変だと思うのも無理はないが、汚らわしいことだとは思わない。ただの仕事だ。このような差別が日本であると知って驚かされた。」

日本の知られざる面を世界に知らしめることができたのも、「おくりびと」のひとつの功績かもしれませんね。

 

デバーグ平部良子:Ara Institute of Canterbury(1906年創立)。クライストチャーチ中心部に位置するシティーキャンパスで、人文学部日本語科の講師として教えている。

 

この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.91(2017年10月号)」に掲載されたものです。

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