元々アニメにはあまり興味はないのだけれど、ここNZの銀幕で日本のアニメが観られるとなると、やはり日本人としては誇らしいし、垣間見てみたい気分になるもの。
“ポスト宮崎駿”の1人として、日本のアニメ界を牽引する細田守監督の、「バケモノノ子」に続く長編オリジナル作品第5作となる「未来のミライ(英語タイトル「MIRAI」)」。
新しく弟妹を迎えたことのある兄姉は、同じような体験をしたかもしれないが、甘えん坊の4歳児・くんちゃんは、ある日、“ミライ”と名付けられた妹を家族に迎え入れる。まだまだ甘えたい盛りのくんちゃんだが、両親は赤ちゃんのミライの世話に追われ、自然とくんちゃんの世話は等閑になりがち。くんちゃんは、小さな妹・ミライに、両親の愛情を横取りされたように感じ、妬んで意地悪をすればお母さんに怒られ、だんだん家の中に自分の居場所をなくしていく。そんなくんちゃんが、家の小さな庭に出ると・・くんちゃんは、そこで自分のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ不思議なセーラー服の少女“ミライちゃん”と出会い、2人は時を越える旅へ。それは、過去から未来へ繋がる、家族と未来の物語。キャッチコピーは「ボクは未来に出会った。」。この「未来」ってなんだろう?
もう1つのこの映画の楽しみは、建築家の谷尻誠が設計したくんちゃんの家をはじめ、微細に描かれたディテール。さすが、美大出身のアニメーター、隅々まで手を抜いていない。アニメ制作の海外発注が叫ばれて久しいが、日本ならではの真骨頂を篤とご覧あれ。
この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.103(2018年10月号)」に掲載されたものです。