NZの失業率はリーマンショック以降、最低の4.4%(Stuff:2018年5月2日付)。それでも外国人は仕事探しに難航し、NZを離れる長期滞在者の数が前年度より23%アップの3万人という統計が出ました(NZ Herald:2018年5月26日)。さらに、今年の11月26日に卒業生向け就労ビザの改正が行われますが、大多数の学生にとって今回の改正は、プラス面とマイナス面両方あり、総合的にマイナスであるように感じます。改正後は、留学生減で10億ドルの損失と予想する企業もあり(Stuff:2018年7月6日)、教育業界への打撃、また雇用への影響が懸念されます。
運よくビザサポートしてくれる職場を見つけたとしても、永住権が取れるまでは、どんな悪条件でも歯を食いしばって頑張っている方もいらっしゃるでしょう。覚えておいて頂きたいことは、ビザの種類にかかわらず、被雇用者は「雇用関係法2000」で保護されており、第4条では「雇用者と被雇用者が互いに誠実(Good faith)に対応すること」が定められている。
また、雇用者及び被雇用者の両者に「就労ビザを取得するための責任を果たす義務がある」との雇用関係局の判例では、「既存スタッフへのビザサポートを拒否した場合、雇用主がGood Faithではないと解釈出来るとのこと(Preston Russel Law,2018)」 (判例Cameron VS Axon 2009と推測)。移民サポート側の回答では、労働ビザのサポート後、正当な理由がなく、永住権のサポートを拒否した場合にもGood Faithと見なされないだろうとのことです。Good Faithではないと判断された場合、雇用関係法2000違反になり、賠償金等の判決が下される可能性があります。
また、ホリディペイや有給の未払い、賃金が法定最低賃金以下、パスポートを預かるなど搾取(さくしゅ)に該当する行為を行った場合は、移民法2009(351条)の規定で、雇用主が罰せられる場合があります。特筆すべきは、同条項は被害者が就労ビザ保持者だけでなく、不法労働者の場合にも適用されるということ。心当たりのある方は、未払い金請求が時効になる6年以内に、労働監督官もしくは司法に訴えるのも一手です。永住権を取得してから10年以内に、上記同法(351条)の違反を犯して有罪判決を受けた雇用主は、永住権がはく奪され、強制送還されることが、同法(161条1項のd)に規定されています。ビザや雇用問題でお悩みの方は、私までご相談下さい。
本コラムは、法的助言を目的としたものではありません。
この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.102(2018年9月号)」に掲載されたものです。