自然のことだま(最終回)


雲間から顔を出したおひさまが、ひとり言のように、話しかけてくれました。

「この季節は、格別なんだ」

そう言うおひさまの視線は、あちこちに動いていました。

風に揺れる草に、仲良く飛び回る鳥に、巣穴へと家路を急ぐウサギに、じっとたたずんでいる大きな岩に…。

「そうなの?」

私は、初めて抱えた鳥の巣を壊さないように気にしながら、おひさまを見上げます。

「みんな、キラキラしてる。すきとおった赤や青や黄色の粒を、草も種も鳥もウサギも、カエルもモグラも花も川も、みんな出してるんだ。おまえさんもだよ」

「そうなの?」

さっきと同じ言葉を、私は、また返します。

「そうさ。それで、動かないものたちは、それを、たくさんたくさん吸い込むんだ。動かないものたちに、キラキラがしみこんでいくんだ。岩や丘や、山にも、家にも。
その間にも、どんどんキラキラが出てくる。それをまた、どんどん吸い込む」

青菜の影から顔を出したダンゴムシに気づき、「あっ」と小さく呟いて光を当てると、おひさまは、「この季節は、格別なんだ」と、もう一度呟きました。

とっても、とっても、嬉しそうに。

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