自然のことだま

    ある春の終わりのことです。 あの年は、綿毛やら、種やら、私のそばをずいぶんとたくさん通り過ぎていきました。 風に乗って、フワフワと飛んでいくのです。 ある者は、「いいところへ行くんだ」と言いま […]

自然のことだま

またひとめぐり、満月の夜がやってきました。 このあいだの新月の朝、小さな小さな木の芽が、「ようやっと」と言わんばかりの顔で土から顔を出しました。私は、「おはよう」と笑いかけ、ふっと息を吹きかけて、まだ新芽の頭に残っていた […]

真実の悩み【第11回】|STORY time

  空は白一面に透き通り、太陽の光が窓から差し込んでいる。先ほどまで上下に揺れていた機体は安定さを取り戻し、まるで海に浮かんでいるかのようにスムーズに進行していた。動揺と奇声が飛び交っていた機内は嘘のように静ま […]

真実の悩み[第10回]|STORY time

  「真実の悩み」 第10回 「すみません、騒がしくて」 アクセントがない日本人訛りの英語が前方座席から聞こえると、母親らしい女性が後ろ向きになり少しこわばった顔を見せた。 「大丈夫ですよ。日本の方ですか」 問 […]

真実の悩み【第9回】|STORY time

  第9回 好きな人と一緒に過ごす事を選ぶのか、叶えたい夢に向かって人生を歩むのか。ほとんどの人は、普通に流されるまま学生生活を終え、社会に出てからは、自分自身で行き先を決めていく。すぐに結婚して家庭を持つ人は […]

真実の悩み【第8回】|STORY time

「真実の悩み」   第8回 もうニュージーランドに住んで七年になる。 どうして日本から海外に移住してきたのか、すぐには思い出せない。子育てに追われる生活で、思い返せる時間も、考えられる心の余裕もなかった。実際何 […]

真実に悩み【第7回】|STORY time

第7回 本当に一億円相当が当たってしまった。 「仕事を辞めようか、まずは家を買うかどうしたらいいかな」 九時半に銀行に行き、当選の確認をした。朝の営業が始まったばかりの支店はお客が数人で静まり返り、すでに当選の情報を得た […]

真実の悩み【第6回】|STORY time

第6回 「そろそろ起きなさい。学校に遅れるよ。もう二回目よ。」 優しい口調で伝えているつもりなのに、少し苛立った気持ちになってしまう。久美は卵のサンドイッチを作り終えてから、フルーツとスナックと共に至ってシンプルなお弁当 […]

真実の悩み【第5回】|STORY time

  第5回 夜、寝る前に携帯電話を充電することを忘れていた。朝起きて慌ててベッドの横にあるコンセントに充電用のコードを差し込むと、聡の携帯に振動とともにメッセージが入ってきた。着信時間を見ると、夜中の十二時。初音からだっ […]

真実の悩み|STORY time

第4回 初音は、話の途中で断りも入れずに席を立った。出口とは反対側にあるトイレの方へ足音を立てながら歩いて行った。飲みかけのカプチーノはまだ半分残っていて、カップの受け皿にのっていた小さなクッキーはスプーンと共に無造作に […]