人生をちょっと楽しくする飲みもの基礎知識

人生をちょっと楽しくする飲みもの、お酒。

正しく付き合えば、健康にも役立ち、ライフスタイルを豊かにしてくれる飲みもののひとつ。ニュージーランドでも日本酒や焼酎、日本のクラフトビールなどが酒店や大手スーパーマーケットで手に入るようになってきた。ここ数年は、珍しい地酒や地ビールを扱うレストランも多くなり、その店でしか味わえないものもあり、ローカルの人々にも「SAKE」を知ってもらえるようになった。今号では、百薬の長と云われるお酒の正しい知識をひもときます。


【酒税法による分類】酒類とは、アルコール分1度以上の飲料であると、酒税法第2条第1項に規定されている。

【酒類の分類及び定義】新酒税法(平成18年5月1日施行)では、酒類をその製法や性状等により課税上の区分として大きく4種類に分類し、さらに酒類の区分として17品目に整理されている。


洗練された透明感のあるその一滴には、日本人の心がギュッと詰まっている日本酒。日本酒が生まれたのは、日本に稲作文化広まった弥生時代と推定されており、平安時代の中期には日本独特の黄麹が使われるようになったと言われている。当時の日本酒は白く濁ったもので、濁りのない清酒が大量に作られるようになったのは、江戸時代の頃と考えられている。日本酒は、酒造り用に改造された玄米を精米し、雑味のもとになる部分が多く含んでいる表層部分を丁寧に削り取り、米の芯に近い部分だけを使って仕込むという、贅沢な工法。まさに日本人ならではのきめ細やかな、ものづくり精神の象徴。おいしい米ときれいな水、日本独特の麹、そして優れた酵母によって生まれた日本酒の繊細な味と香りは、お燗や冷や、冷酒など温度に変化をつけることによっても楽しめる。

<甘口と辛口>ラベル表示にある日本酒度の数字が大きいほど辛口で、値が小さいほど甘口。糖分が少なくアルコール分が多ければ辛口に、その逆が甘口

<保管方法>日光が大敵なので、できるだけ冷暗所に保存しておくと良い。横に寝かせる必要はなく、冷蔵庫内に立てて保存すれば良い

<燗の上手なつけ方は?>お酒を注いだ徳利を、水が入った鍋に入れてから火にかけ、中火で温め、徳利の口までお酒が上がってきたころが飲みごろ(35〜50℃)。また、水を足してお燗をする割り水燗という方法もある。お酒1合に対し水大さじ1杯の割合程度

<冷と冷酒の違い>冷は常温、冷酒は冷蔵庫などで冷やしたもの。冷やすと、口当たりが良くなる



<用語集>精米歩合:白米のその玄米に対する重量の割合。精米歩合60%というときには、玄米の表層部を40%削り取ることをいう


蒸留の製造技術が日本に伝えられたのは、インド、東南アジアを経て15世紀(室町時代中期)といわれており、麦や芋などと蒸留の技術が出会って生まれたのが焼酎である。
焼酎は、蒸留方法によって大きく2つ、甲類と乙類とに分類される。

甲類は、連続式蒸留機で、繰り返し蒸留を行いながら造られる。アルコール度数は36%未満に規定されている。無色透明でピュアな味わいが特徴で、クセがないのでロックやお湯割り、酎ハイ、果実酒など、好みで色々楽しめる。

乙類は、仕組みがシンプルな単式蒸留機で蒸留を行いながら造られるので、アルコール以外の香味成分も抽出される。麦やそば、黒糖など原料独特のふくよかな味と香りが特徴。焼酎本来の味わいを楽しむことができるロックやお湯割りがおすすめ。アルコール度数は45%以下。

<美味しい飲み方は>ごく少量を生(き)で味わって香りを楽しんでから、ストレートやロック、水割り、お湯割、炭酸割り、カクテルなど

<原料>代表的なのは麦、芋、米、そば、黒糖など。変わり種では、トマトやネギ、シソ、落花生など地域の特産物を使用したものも

<水割りには軟水、硬水?>爽やかな味を求めるなら硬度が低い軟水を。焼酎が持つコクやキレを楽しむなら、高度高くてミネラル豊富な硬水がおすすめ


焼酎の特徴:日本独自の蒸留酒でもある焼酎は、原料や麹の種類、蒸留方法などの違いで、味や風味が変わるのが魅力。飲み方も多彩で、型に縛られない自由さが楽しめる。
単式蒸留焼酎ができるまで:

<用語集>単式蒸留:アルコール度数45度以下で一度だけ蒸留する方法。素材の風味や旨味を引き出す

連続式蒸留:何度も繰り返し蒸留し、純度の高いアルコール度数が36度未満になるまで加水する。ピュアでクリアな味わいに

麹:蒸米に焼酎用の麹菌を植え付けて、繁殖させたもの。焼酎には穏やかな味わいの白麹を主に使用。泡盛造りに使われるコクがあってキレ味のいい黒麹や、日本酒に使われるフルーティな黄麹がもちいいられることもある


ワインの歴史は、ブドウの歴史でもあるといわれている。その歴史の始まりは、一説では紀元前6000年頃にすでに西アジアで造られていた形跡があり、ワインが飲まれていたと考えられている。聖書においてもワインは非常に重要な役割を担っており、イエス・キリストが処刑される前に、パンをイエスの身体、ぶどう酒をイエスの血の象徴として、弟子たちにいい残したともいわれている。原料となるぶどうを洗わずに皮ごと潰して発酵させ、火入れや殺菌をしないワインは、まさに生きているお酒。瓶詰めされた後も、熟成し続ける。

<用語集>亜硫酸:二酸化硫黄のことで、酸化防止や保存料として使用される

オーガニック認証:合成農薬や除草剤、化学物質などを用いない、醸造には天然酵母を使用するなど、国によって認証基準が異なる

ヴィンテージ:ブドウの収穫年のこと。特に優良なブドウができた年のワインをヴィンテージワインと呼ぶ

テロワール:郷土、産地を指すほか、ワインの味わいに影響する土壌、地層、地質、立地条件などブドウ畑が置かれている自然環境を指すことも


ビールの誕生については諸説があるが、紀元前6000年前のメソポタミアまでさかのぼるといわれている。放置されていた麦の粥に、浮遊していた酵母によって自然に発酵したのが、ビールの起源だといわれている。その時代の後、麦を乾燥して粉にしたものをパンに焼き上げ、そのパンを砕いて水を加え、自然に発酵させる方法で栄養価の高い飲み物としてビールが造られていたそうだ。今日では、どのビールも麦芽やホップ、水や酵母、副材料から造られる醸造酒である。炭酸を感じないビールや酸味が効いたもの、甘いビールや白く濁ったものなど、さまざまな種類がある。

・美味しく飲む温度は、上面発酵なら5℃、下面発酵なら13℃くらいが目安

・上面発酵(エール)は16−21℃の温度帯で活動し、フルーティな香りやバタースコッチのような甘い香りなど奥深い味わいが特徴

・下面発酵(ラガー)は4−10℃で発酵し、活動が進むと沈殿する。シャープでキレのある味わいが特徴

参考:国税庁課税部酒税課「酒のしおり」(https://www.nta.go.jp/

イラスト:はとり。獣医になりたくてニュージーランドに大学留学。夢叶わずも他学部で卒業、結婚。気がつけば三児の母。インスタグラムで子育て絵日記を公開中。Instagram:@hatori_co

この記事は、ニュージーランドのビジネス系無料雑誌「KIWI TIME Vol.119(2020年3月号)」e-book版に掲載されたものです。

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