市長からのメッセージ
「パーマストンノースへようこそ」
Kiwi Timeの読者の皆さま、こんにちは。パーマストンノース市長のグラント・スミスです。パーマストンノースは決して大都会ではありませんが、コスモポリタンでフレンドリーな街です。国際的な企業や多くの高等教育機関が集まるパーマストンノースは、外国からの留学生や、移民の方々を歓迎します。
パーマストンノースと日本はとても密接な関係にあります。日本企業のトヨタや日野がニュージーランド本社をこの市に構えていることや、IPU New Zealand(岡山県に所在する環太平洋大学の系列高等教育機関で、多くの日本人が学ぶ)が1990年の創立以来、日本文化の発信し続けていることもあり、市民は日本に親近感を抱いています。2016年に広島県の三原市との「フレンドシップ都市」関係を締結しましたが、現在これを「姉妹都市」に昇格させるべく計画を進めています。
2017年に日本を訪問した際、個人的にとても感心したことが3つあります。一つは日本を訪れる誰もが語ることですが、「和食」に感銘を受けました。パーマストンノースは人口比に対してレストランが多い市ですが、まだまだ和食レストランは少ないので、ビジネスチャンスがあります。また、東京を訪れた際、「美容・健康」のビジネスフェアに足を運んだのですが、この分野の市場の大きさと潜在的なマーケットの広がりに可能性を感じました。そして京都を周遊した際には多くの日本庭園を拝園する機会がありましたが、庭園や盆栽の職人技はキウィをも感動させるはずです。これら全ての分野でパーマストンノースの需要は未知数ですが、日本の方ならではの技術を持って、我が市でぜひチャレンジしてみませんか。
就職を考えられている方には、我が市では酪農やフードサイエンス産業はとても盛んですので、この分野で経験がある方は。各研究施設の募集状況をご確認ください。特に研究者のニーズはとても高く、広き門となっています。他の分野においても、Massey大学やUCOL、IPUに在籍する学生の皆さんには、それぞれの教育機関でインターンシップの機会がありますので、それを足がかりに就職、または起業という道もあります。
新規ビジネスの設立や移住については、市との結びつきが強い公共機関である「CEDA(Central Economic Development Agency=前号参照)」や「MMC(Manawatu Multicultural Council)」にご相談ください。
皆さんとこの地でお会いできるのを楽しみにしております。
パーマストンノース市長 グラント・スミス
GRANT SMITH MAYOR, PALMERSTON NORTH
地元のキウィや外国人永住者に「パーマストンノースの見所は?」と聞いても「う~ん…」と言葉を濁してしまうかもしれません。しかい「住み心地は?」と聞けば、大半の人たちが「住みやすい」「不自由はない」と即答するはず。何もないようでいて、最低限以上のものはあり、特に家族で住むには、教育や居住面で最高の環境と言えるのではないでしょうか。
◆住宅事情
パーマストンノースの住宅価格は、家賃ともにニュージーランドの中でも最下部の方に入ります。持ち家率や売買の回転率も高く、この街における住居購入は「一生の買い物」というよりも「お得な買い物」という感覚に近いかもしれません。オークランドで100万ドル以上の規模の家でもこの街での販売価格は半額以下。それほど裕福でなくてもセカンドハウスやビーチにバッチ(別荘)を構える人も少なくありません。
◆道路事情
通勤・帰宅ラッシュによる渋滞が起きるのは朝と夕方ほんの15分くらい。と言っても大都会に比べれば皆無。駐車に関しては、街の中心エリアの駐車スペースは十分とは言えないため、自動車通勤や週末の買い物にはストレスを感じることもあるかももしれませんが、道もまっすぐで広い道路が多いため、運転はラク。自動車免許も取りやすいかも!? 自転車用レーンが整備されている、バイカーに優しい街でもあります。
◆教育環境
高等教育機関が集まる都市であり、学研都市特有の落ち着いた環境があります。公立の小・中学校(Year1~8)でも各学校には特色があり、留学生や移民を多く受け入れる国際化を推進している学校もあれば、バディ制度(上級生が下級生の個人サポートを行う)を取り入れているところもあります。高校は伝統・規律を重んじるところもあれば、スキル習得や職業訓練に力を入れている学校もあります。
◆周辺環境
どのエリアにも大きな公園があり、街全体が緑で覆われている印象。中心部から30分もドライブすれば、森林、山、海と大自然を満喫。都会と田舎の魅力を同時に感じることができるのが、この街の特色です。
◇移住を考えられている方へ
パーマストンノース日本交流会(Japanese Association of Palmerston North=JAPN)では、日本からパーマストンノースに引っ越されてまだ間もない方や、移住を考えられている方への情報提供や助言を行っています。特に家族で来られる方には、学校や治安面などエリアごとの居住環境ついてもご説明しています。お問い合わせはパーマストンノース日本交流会のFacebook(JAPN パーマストンノース日本交流会)よりどうぞ。
◇日本人コミュニティーについて
大都会に比べれば日本人の数は少ないですが、80代の方から新生児のお子さんまでさまざまな方がいらっしゃいます。この街には日本企業の駐在員やワーキングホリデーの方々はほとんどいませんので、在住者は子育てに勤しむママさんたちや、地元企業で働く方々、自営業の方々など、一般的なキウィの一員として生活している方が多いようです。日本人同士のお付き合いは、子供の年齢や学校、あるいは居住エリアによるものが多い印象で、特に決まったグループはありません。
◇日本文化に親しむ機会は?
日本の岡山にある環太平洋大学のNZキャンパス(IPU)があり、桜の季節にはフェスティバルが開催され、日本のお祭りの雰囲気を味わうとともに、伝統芸能や武道に親しむ機会があります。市最大の公園エスプラナードの桜並木も有名で、満開の中での散策は自分が日本人だと改めて感じさせてくれるかもしれません。
◇日本語の補習校ってあるの?
パーマストンノースには補習校はありません。日本の教員免許を保持されている方がご好意で自宅を解放し、幼児童向けに日本語を使ったお遊戯と、そして小学生以上の児童には日本の教科書を使用した日本語レッスンを行っています。お子さんだけでなく、お母さん達の交流場所ともなっています。他にも不定期に日本語を教えられる先生や音楽を教える日本の人の方もいらっしゃいます。
◇日本交流会の活動について
特に定期的に交流会やミーティングをしているわけではありませんが、新年のピクニックは恒例のイベントになっています。不定期に行うイベントにはたくさんのコミュニティーの方々に参加いただいてます。過去にはクリスマス、七夕、よさこいソーラン、お月見、生け花、着付け、運動会などの機会を持ちました。今年は和太鼓体験やファーム訪問を予定しています。
◇お母さんが働く機会について
シングルマザーや、経済的に共働きせざるを得ないケースもあるので、働かれている日本人ママさんもいらっしゃいますが、形態はさまざまです。レストランやスーパーの他にも、専門的なスキルがある方はネットワークを利用したり、自分を売り込んで、仕事を見つけられる方もいらっしゃいます。
◇日本人ママさんたちの強い味方
子供たちに「なんとか日本語を習得させたい」、「他の日本人お母さんとも交流したい」というのがNZに限らず海外で子育てをする親の願いではないでしょうか。大都市でもないため補習校もないパーマストンノースには、そんな親の願いに答えてくれる場があります。
■日本語で遊ぼうの会
週に1回日本語を使ったお遊戯で、親子で日本語に親しむことができる環境を提供。母親同士の親交を深める場にもなっています。
■日本語大好き会
小学一年生以上の子供が対象で、日本の国語の教科書を使いながら、読み書き中心のレッスンを行っています。
■日本人コーヒーグループ
幼いお子さんを抱えたママ(またはパパ)さんのためのコーヒーグループ。子供達が遊んでいる間の日本語での語らいのひととき。
イラスト:はとり
獣医になりたくてニュージーランドに大学留学。夢叶わずも他学部で卒業、結婚。気がつけば三児の母。インスタグラムで子育て絵日記を公開中(@hatori_co)。
この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.96(2018年3月号)」に掲載されたものです。