ボサノヴァの女王、小野リサ。

優しい音色でスッと耳に入り、包み込むような歌声の持ち主、小野リサさん。2019年9月15日、ニュージーランドでは初の公演となる小野リサさんのコンサート、”Lisa Ono Music Journey 2019″が開催された。世界中を巡る「音楽の旅」を続けるリサさんに話を聞いた。


音楽で世界を巡る旅でオセアニアに

コンサートのポスターにも題してある『Music Journey(音楽の旅)』は、世界各地の楽曲を現地の言葉で、ボサノヴァにアレンジして歌う旅。ブラジル音楽だけでなく、ジャズやハワイアン、カンツォーネ、ラテンやソウルなどさまざまな国のさまざまなジャンルの名曲をアレンジしてアルバムを作り、ツアーで世界を紀行しながら音楽の旅を続けている。

オセアニアツアーで初めて訪れたニュージーランドの印象を聞いてみると、「ニュージーランドは、とてものどかで、素敵なところですね。牧場もたくさんあって、なんだかほっとするようなところです」と答えてくれた。

サンバなどと並ぶブラジル音楽のジャンルのひとつである、ボサノヴァ(Bossa Nova、ボッサ・ノーヴァ)。2ビートでアップテンポなリズムを強調したサンバと違い、リズムを強調しない静かな8ビートで、基本のリズムをギターで刻むスタイルが、「新しい( Nova)、流れ・感覚(Bossa)」と言われているそうだ。

1950年後半、ブラジルに移住した両親のもと、ブラジル・サンパウロで生まれ、10歳までの幼少時代をブラジルで過ごしたリサさん。家族とともに日本へ戻った後、ブラジルがとても恋しくて、歌を歌い始めたそうだ。そして父親が経営するブラジル料理とライブの店「サッシペレレ(www.saciperere.co.jp)」のステージ上で歌うことになったのも、自然な流れだったという。


名実ともにボサノヴァの女王となる

1989年、全曲ポルトガル語のアルバム『カトピリ(CATUPIRY)』でデビュー。「日本人初の本格的ボサノヴァシンガー」として注目を集めた後、1991年、92年と連続してアルバムが日本ゴールドディスク大賞のジャズ部門を受賞、以降、年1枚ペースでポルトガル語のアルバムを発表。1999年、11枚目のアルバム『ドリーム』から、音楽の旅をテーマにしたアルバム作りが始められ、ボサノヴァを創った伝説の作曲家、アントニオ・カルロス・ジョビンやジャズ、サンバの巨匠ジョアン・ドナード等と共演、20万枚を超えるロングセラーを記録した。

2001年のアルバム『ボッサ・フラ・ノヴァ』では、ハワイの国民的歌手であるテレサ・ブライトさんと一緒に歌い、2002年のアルバム『クエスタ・ボッサ・ミーア…』では全曲をイタリア語で歌うなど、ポルトガル語だけでなく、さまざまな言語で歌われている。2013年、日本でのボサノヴァ普及の功績に対し、ブラジル政府から最高勲章の一つである「リオブランコ国家勲章」を受賞するなど、名実ともにボサノヴァの女王となる。


1つひとつのコンサート、1つひとつのアルバムを大切に


一昨年の2018年にデビュー30周年を迎えたリサさん。同年の2018年はボサノヴァ誕生60年、日本人のブラジル移住110周年を迎えた年でもある。

30周年を記念し、全曲を日本語で歌うアルバム『旅 そして ふるさと』がリリースされた。36枚目となる同アルバムは、「知床旅情」や「いい日旅立ち」、「大阪の女」など、日本各地を題材にした曲や旅をテーマにした曲がカバーされている。

最新のアルバムでは、2019年12月に「愛から愛へ〜愛の讃歌〜」がリリース。昭和歌謡曲の名曲「今日でお別れ」や洋楽曲「愛の讃歌」などが収録されている。

各国でのコンサートにアルバムの収録と、多忙なリサさんだが、「レコード会社や事務所の方々とともに、1つの目標に向かって、お仕事を続けさせていただいております。たくさんの方に支えられながら、お仕事をしていくことは、とても楽しいものです。これからも、1つ1つのコンサート、1つ1つのアルバムを大切にして、丁寧に作っていけたらと思っています」と音楽活動への真摯な取り組みを語ってくれた。

最後に、「ニュージーランドに住むミュージーシャンの皆さんも、ぜひ多くの方々に素敵な音楽を届けてくださいね。どうもありがとうございました」と将来音楽の道を目指す人たちへのメッセージで話を締めくくってくれた。


♢小野リサ(おの・りさ)

15歳からギターを弾きながら歌い始める。 1989年デビュー。ナチュラルな歌声、リズミカルなギター、チャーミングな笑顔で瞬く間にボサノバを日本中に広める。

ボサノバの神様 アントニオ・カルロス・ジョビンや、ジャズ・サンバの巨匠 ジョアン・ドナートら著名なアーティストとの共演や、ニューヨークやブラジル、アジア各国での公演も積極的に行っており、海外においても高い評価を得ている。1999年アルバム「ドリーム」が20万枚を越えるヒットを記録するなど、これまでに日本ゴールドディスク大賞「ジャズ部門」を4度受賞。2013年にはブラジル政府よりリオ・ブランコ国家勲章を授与される等、日本におけるボサノバの第一人者としてその地位を不動のものとしている。

オフィシャルサイト http://onolisa.com/

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