自分年金のつくり方(前編)

老後を迎えれば、いつまでも元気という訳にいきません。病気になったり、介護が必要になるかもしれません。多くの方が感じているように、老後の資金を公的年金だけに頼るのは、もはやリスクが高いといえます。自分自身で準備する「自分年金」が必要な時代、将来のために準備しませんか。


自分年金とは、リタイア後の収入源を預貯金や株式、保険などの金融商品を利用して、自分自身で得る収入のことをいう。毎週の給料が無くなっても、定期的な収入、不労所得があれば、老後に必要な生活資金を補うことができる。

NZ Super

NZ Super(New Zealand Superannuation)は、ニュージーランドの公的年金で、日本で言う老齢基礎年金。主な財源は税金からなので、掛けていなくても受給することできる部分が日本とは異なる(詳細は、弊誌「KIWI TIME」2018年11月号を参照)。

 受給額は発給年前年のNZ国民平均所得額の65%~72.5%が保持されるように設定されており、毎年4月1日にその年の受給額が発表される。年金は対象者が被雇用者、自営業者、無職者に関わらず発給される。NZ市民権がなくても永住権で年金受給が可能。

例(2019年4月1日時点での受給額)

・単独で暮らす場合(2週間分):$822.30/1人分(税引き後)

・夫婦で暮らす場合(2週間分):$632.54/1人分(税引き後)

夫婦で暮らす場合は、2人分で2週間$1,265.08、1週間$632.54を受給できることとなる。この金額は、年金の受給資格を満たしている場合に限るので、さまざまな状況に応じて個別で受給額が変わることを想定しておこう。

◆生活資金:

参照:Immigration New Zealand

https://www.newzealandnow.govt.nz/living-in-nz/money-tax/comparable-living-costs

上記表を見ると、地域によって差があるのが分かる。また持ち家(住宅ローン有無も含め)と賃貸によって、大きく住居費も変わってくるため、これらの表を持って「年金では老後生活が成り立たない」ということは一概に言えない。上記表はあくまでも賃貸ベースで、他のコストは平均値であり、一覧表の項目以外に、外食や趣味にかかる費用、コストカットできるもの等、個々で想定しながら老後に必要な総額を予め概算しておくことをおすすめする。持ち家で支払いがすでに終了している場合でも、修繕費などを想定しておきたい。


生活資金がある程度確定したら、受給できる年金で生活できるのか、不安に思う方、安心と思う方と分かれると思うが、いざという時の為の貯えは必要である。ではどのようにして、貯えるのか。株式や不動産投資は少し敷居が高い、自分では無理だと思われる方も、この国ならではの個人年金、国も推奨するKiwiSaverはおすすめ。変更点も含めて、再度確認しておきましょう。

◆KiwiSaver

加入後に積み立てた金額を65歳になったら引き出せる任意の個人年金のキウイセーバー(ニュージーランド国籍または永住権保持者が対象)。

 自分で積み立てるほか、雇用主から給与に対して計算された金額を、政府からはタックスクレジットとして支払われ、初めての家の購入資金として引き出すことができる、65歳になってローンの返済に充てることができるなど、さまざまな用途に使うことができる。加入年数などの制限があるため、家の購入資金や海外に移住する際に全額を引き出す場合などは、会計士など専門家の助言を受けながら進めることをおすすめする。

◆KiwiSaverのプロバイダー

キウイセーバーは、銀行預金のように積み立てられるのではなく、積み立てられた金額を銀行のファンドや保険会社などのプロバイダーが株や不動産、債券等に投資して運用することとなる。運用先は自分で選ぶことができる、自分の積み立てた金額の配分を再度見直しするとともに、専門家に相談してみるとよい。

KiwiSavernの運用タイプは以下の3つに分かれる。

1、運用比率が低いディフェンシブ(堅実派のための低リスクタイプだが、利率は低い)

2、運用比率が高いグロース(成長が見込める企業やベンチャーに投資するハイリスク、ハイリターンのタイプ)

3、1と2を総合したバランスタイプ


◆Sorted.org.nzで他のプロバイダーを確認

◆各種プロバイダー一覧

AMP Wealth Management New Zealand Limited

ANZ New Zealand Investments Limited

ASB Group Investments Limited

BNZ Investment Services Limited

Booster Investment Management Limited

BT Funds Management (NZ) Limited.

Fisher Managed Funds Limited

Kiwi Wealth Limited

Mercer (N.Z.) Limited

参考:Sorted(https://fundfinder.sorted.org.nz/?_ga=2.81138007.1718132806.1554074237-1156495421.1554074237


出典:New Zealand Inland Revenue

https://www.ird.govt.nz/campaigns/2019/kiwisaver-2019/kiwisaver-2019.html

この記事は、ニュージーランドのビジネス系無料雑誌「KIWI TIME Vol.110(2019年5月号)」に掲載されたものです。

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