BEDS by Rei

虹の国ニュージーランド。もちろん想像の範疇(はんちゅう)を超えないが、NZで育つ子の方が日本で育つ子よりも絵に「虹」を入れる頻度が高いのでは(ユニコーン好きが多いため?)。もしそうだとしたら、7原色を直に感じられる機会が多いこの国は、色彩感覚を研ぎ澄ますのには最適な環境と言える。絵具、クレヨン、色鉛筆、マーカー…画材はなんでもいいが、子供には色いっぱいのパレットで描いて欲しい。原色しか手持ちがない場合でも、色を混ぜれば色数は一気に4倍にも増えるのだ。

 とにかく目を引く今回の作品。タイトルがなければ、これが何の絵かは分からない。しかし何が描かれているかが分かっても、謎が多い作品だ。子供は天然のピカソ。ピカソのような絵が描けるというのではなく、ピカソが悩んで考えてたどり着いたことを、いとも簡単にやってしまうということ。青の時代、ローズの時代を経て、新しい手法を模索していたピカソは、アフリカ民芸や子供の自由な絵に着想を得て、キュビズムにたどり着いた。所詮「大人」のピカソは頑張って子供のような大人の絵に行き着いたのだ。

この絵のスゴイところは「キュビズム」で描かれていること。物事をキューブ(=立体の四角)の視点で見る方法…つまり、ひとつの物を「上、下」からの視点、「側面」の視点の全方位で捉えること。おそらくここには7段ベッドが描かれている。しかしその7つは縦に積まれた7段ベッドなのか、あるいは横に並んでいるのか?ベッドの左に描かれたものはハシゴだろうか?もしそうだとすると、本来ならベッドの側面しか見えなさそうなものだが、上面も見えている、これこそがキュビズムだ。

さらなる見所は色の塗り分けだ。「ベッドを一生懸命描きたい」この画家、その他のスペースは放置状態。このギャップが心地よい。これは禅画やクリムト名作の「キス」手法にも通じるものだ。画面にメリハリと緊張感を与える方法だが、常識に縛られた大人には、これを行うのがとても難しい。空白を締めることが怖いのだ。鉛筆をベースにしながらも、シャープな線にはボールペンを使う勇気にも拍手。

NZ在住のこの画家の作品には、虹が描かれているわけではない。しかしベッドカバーを彩る模様は虹を思い起こさせる。原色にメリハリを感じられるこの国で、色彩感覚にさらなる磨きをかけ、創造性を伸ばして欲しいものだ。

この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.108(2019年3月号)」に掲載されたものです。

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