by Hinata

圧倒的な迫力で鑑賞者に迫ってくるこの作品。子供が人物の絵を描いている時、よくその子に「この人は誰?」「この人は何をしているの?」などの質問をすることがありますが、この作品には、そのようなことを問うのが無意味に感じられるほど、有無を言わせない説得力と力強さがあります。私自身、この絵を目にした途端、そのインパクトに、しばし言葉を失いました。この絵がどうしてここまで鑑賞者の心を揺さぶるのだろう…?と考えてみると、それはきっと「常識に捉われていない」自由で率直な表現が目に新鮮に映るからではないでしょうか。

 いや…常識に捉われていないというよりも「常識」と「常識からずれているもの」が絶妙にミックスされているからこそ、ここまでの名作ができ上がったのかもしれません。画家本人の常識は、鑑賞者に対して伝えたいものを表現するときに利用されているようです。水玉の雨、黄色のイナズマ、テント(おそらく)被写体である男性(おそらく)の姿形、その男性の足元の水溜りなどの描画方法は一般常識の範囲で収められています。

その上で、独創的で常識にとらわれていない色使いや、形、表現方法。それがこの作品の芸術的価値を高めているように思われます。緑の大胆な顔の輪郭線(そして、その輪郭線自体が黒の輪郭線で覆われているという…)。虹色の毛髪、アニメで使われるタンコブのような赤い耳。ブラックジャックの顔の傷?にも見える顔中にある縫い跡のようなペンマーク。スーパーヒーローのようなコスチューム。

この画家は、つい最近家族でキャンプに行ったとの情報もあり、その裏情報はこの絵の謎(筆者にとっての一番の謎は、この男性の怒っているようにも見える顔の表情ですが)を解き明かす鍵になりそうです。楽しいはずのキャンプが雷雨で台無しになって機嫌が悪くなったお父さんなのでしょうか⁇もしかして雷がテントに落ちて(カミナリ部分だけに黒い雲がかかっているのも興味深いですね)燃えてしまっただけでなく、お父さんの頭にも落ちて、感電して髪の毛が逆立ってしまったとか⁇など、ユーモアの中にスリルを感じさせる、緊張感のある絵となっています。

お父さんが手に持つものは調理具でしょうか。テントの中の人にも何か役割があるようです。こういった細かな描写が絵を単調にすることなく、ストーリー性をもたせ、男性の顔の表情とともに、この作品のミステリー度を高めているようです。

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