第三夫人と髪飾り(The Third Wife)

クリスマスホリデーも終わり、肉々しいものにちょっと食傷気味なところ、ここはあっさり、でも味わい深い、ベトナム人新鋭女性監督、アッシュ・メイフェアの「第三夫人と髪飾り(The Third Wife)」。近年、日本の在留外国人数では、中国の786,241人、韓国の451,543人に続き、37,1755人と第3位に続くベトナムだが(在留外国人数は2018年6月時点)、まだまだ伝統や文化、歴史については意外と知られていない。

アッシュ・メイフェアは、1985年ベトナムに生まれ、中学・高校をオーストラリアの寄宿学校で過ごし、イギリスの名門オックスフォード大学を経て、その後、アメリカのニューヨーク大学映画学科で学んだ才媛で、今を時めく現代女性だが、舞台は19世紀、男児を産むことが女性最大の務めとされていた『一夫多妻』『父権社会』の北ベトナム。14歳で、数人の妻のいる曽祖父と見合い結婚した、監督自身の曾祖母の話から着想を得て自らが脚本を書いた、「フィクションではあるが、現実にあったことを織り上げて作ったタペストリー」。

14歳のメイは、絹の里の大富豪の元に第三夫人として嫁いでくる。上品で穏やかな第一夫人には、息子が一人。美しく魅惑的な第二夫人には、娘が三人。“奥様”と呼ばれるのは、息子を産んだ夫人のみ。メイは更なる男児の誕生を待ち望まれ迎え入れられた。そして、メイは身籠る。時を同じく、第一夫人も懐妊。

世界遺産に登録された景勝地、ニンビン省チャンアンの風光明媚な自然を背景に、輝く竹の翠、ランタンに灯る光、石を打つ雨だれの滴、女たちの纏うアオザイの色彩。ハリウッド映画のような、あからさまなセックスシーンはないにも拘わらず、当時13歳だったメイ役のグエン・フオン・チャー・ミーが、官能的なラブシーンを演じたことで物議を醸し出し、保守的なベトナムでは公開4日目で上映中止に追い込まれた。

ここリベラルなNZでは、遣る瀬無い東洋の美を存分に堪能したい。

我等 あり

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