移民アドバイザー=探偵業?

移民アドバイザーの仕事を誤解している方が多い印象を受ける。我々の仕事はクライアント様から頂いた情報を盲目的に移民局に提出することではない(もしそうであるとしたら、大学で専門法律学位を取得する必要のない、誰にでも出来てしまうような、時間だけはかかるが簡単な仕事になってしまう)。そう思われているからなのか、本人申請される方が多く、その結果、申請却下される人や、対策が難しいPPIレターを貰ってしまう人が後を絶たない。

一度提出してしまった資料がビザ発給条件と相反する性質のものである場合、個人で申請した後に、移民アドバイザーや弁護士を利用しても、かなり難しい場合がある。最近も、ビザ申請に確実に悪影響を与える情報を隠匿して個人で申請したため、覆すのがほぼ無理なPPIレターが来たとの相談があった。移民法を誤って解釈したために起こった致命的ミスが一番の原因だ。また、移民アドバイザーに雇われたスタッフからアドバイスを受けたケースもあるようだ。アドバイザーの見よう見まねで親切心から教えてくれたのだろうが、これは法律違反。罰として、最大懲役7年もしくは/及び10万ドルの罰金が科せられる。

個人的には、移民アドバイザーは点と点をつなぐ探偵のような仕事が多くを占めると思っている。少なくとも弊社では、膨大な時間をかけて、頂いた情報を精査し、疑問に思ったことを、クライアント様、パートナー、雇用主等に率直にぶつけて“隠れた重要情報”を探り出す。実際、仕事以外でも常に分析している。もはや職業病である。そして、その掘り起こした情報と証拠を提出し、法律や判例を照らし合わせて、ビザ発給条件を満たしている事を移民局に主張するという流れだ。

最近はワークビザ申請ですら、申請者や、雇用主に移民局が電話インタビューをするようになった。移民局からの簡単な質問に即答できなかったり、他の情報と矛盾している場合は危険信号となる。彼らは、一つでも申請書類や資料に不審点があった場合、深く追求してくる。ここで大事なことは、どんな些細なことでも、ビザ審査に関係している可能性がある事は何でも事前にアドバイザーに言うことである。病気、犯罪歴はもちろん、公私のトラブル、仕事内容、パートナーとの関係、法律違反等、ビザ審査に関係していると思われることは、臆せず何でも話してほしいと私は思っている。 移民アドバイザーとスタッフは、クライアント様に対して守秘義務がある。

実は自分の事は何でも知っているという自信がある人が、ある意味一番危険だ。ビザ申請で肝心なのは、”Never assume anything”(何に対しても仮定するな)。本人の知らない事や、移民局が疑問を抱くであろうことを事前に炙り出すことが出来る為、しっかり分析してくれる移民アドバイザーを利用することで、申請が却下されることを大幅に防ぎ、予想される質問への対策を練ることが出来る。アドバイザーである私にとってこれもまた時間のかかる作業だが、“探偵業”も重要な仕事の一つである。

本コラムは法的助言を目的としたものではありません。

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