あれ?
顔がない??と思ってしまったのは、子供の絵に対する先入観のためか。こういった状況がすぐにパッと掴めない、特殊な描写の作品では、文字情報がとても重要になる。「Super Cat!」がこの絵の入り口の鍵だ。耳と尻尾があり「これは犬?」、また逆三角形の洋服を着ているのか「これはスカート?」と思ってしまう可能性もある。しかし「Super Cat!」で全ては解決される。犬ではなく猫、スカートではなくマント。スーパーヒーローの猫なのである。
この画家が猫のスーパーヒーローのうしろ姿を描きたいと思ったのは、ケープ(マント)に注目したから。そう、正面の姿を描いたのでは、ケープは目立たないばかりか、あることにも気づいてもらえない可能性があるのだ。
うしろ頭の空白部分は目も口もないが、片手を空に突き上げた堂々としたポーズから、凛々しい顔の表情が浮かび上がってくるようだ。迷いのない輪郭線は力強く、スーパーヒーローの頑強さにマッチしている。マントの渋めの色は…本来鮮やかだった黄色が、まだ乾いていなかった輪郭線の黒に混じって濁っちゃったんだろうな…。