今月の名作「PRINCESS」by RIN

 

これは、

本当に幼い子どもが描いたのか!? と叫んでしまうくらい、これほど大人の「理性」が前面に出ている作品も珍しい。色彩原理をすっかり理解しているかのような色使いと、デザイン理論の正統的実践…。

 確かに鉛筆の線画だけに注目すると、幼児の描く典型的なスマイリーフェイス&マッチ棒のような手。両手が頭からではなく、ちゃんと胴体から伸びていることで、4歳以上であろうとは予測できるが、特に注目すべきは服の色使いだ。一般的に子供は直感的に手に取りやすい色、つまりチューリップの歌のごとく♪あーかーあーおーきいーろ♪の3原色や、緑、オレンジなど鮮やか色を手当たり次第選びがちで、結果的に目がちかちかするようなものができ上がってくる。しかしこの作品ではピンク、赤、赤紫、オレンジ系ピンクという感じで同系色のカラーハーモニーができ上がっている。 見よ、この見事なまでの色の落ち着き具合!そして髪の毛は服とコントラストになる鮮やかな黄色。この絵はつまり、色彩原理でいうところの「アナロガスカラー」理論を応用した手法で描かれているのだ!

 前面にいるキュートな小動物(ウサギとのこと)の頭はハートシェイプ。そしてもう1つハートが見える…。そう逆さまになっているが、右足が上下逆さまのハートになっている。絵の中に特定のシェイプを2つ以上入れるのは、構図のバランスを整えるためのデザインの基本。この絵は総合的に判断して美大生レベルと言ってよいであろう(線の自由さを考慮に入れたら美大生以上かも)。

 万が一こういった理論を知らずしてこの絵を描いたとなると、この子のいく末は恐ろしい…。いや知ってて描いた方が恐ろしいのかな…。

 

 

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この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.102(2018年9月号)」に掲載されたものです。

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