NZに来てから、日本で起こったリアルタイムの記者会見を見たのは2回だけ。それも、どちらも今年に入ってからの事だ。1回目は、新元号(令和)が発表された時で、2回目は、世間の批判にさらされていた、宮迫、田村亮の2氏が釈明会見をした時である。彼らの主張の内容はさておき、違和感を感じたのは、もう一方の当事者の吉本興業の会見の前にも関わらず、この会見だけで、世間が両人にシンパシーを感じたのか(?)彼らへの擁護論が噴出し始めた事だ。
移民局では、ビザ申請者、雇用主各々が提出した情報、移民局や関係各省が把握している情報などをfairness and natural justice(公正かつ自然的正義)の基本原理を基に、ビザ申請の審査をすることが義務付けられている。
具体例としては、移民局の懸念点を伝えたか、提出された全ての関連した情報を考慮したか、申請者の国籍に対して偏見なく審査したか等。
これが守られていないと、審査に不備があったことになり、オンブズマンの介入につながったり、裁判所で永住権却下を破棄する判決が出る事も。審査官が、この原則に完全に従っていない案件が意外に多い印象すらある。もし、PPIが来たり、ビザ申請が却下されたら、審査官のロジックを粒さに精査する必要があるかもしれない。
この原理原則は、ビザ審査時ではなく、日常生活でも、非常に大事な要素のように感じる。昨今、両者の言い分を十分聞かず、一方的に自分の偏見で決める人が多いように感じる。公平に物事を判断することを自戒の念も込めて、実践していくべきではないであろうか。
本コラムは法的助言を目的としたものではありません。
この記事は、ニュージーランドのビジネス系無料雑誌「KIWI TIME Vol.114(2019年9月号)」に掲載されたものです。