“日本流の安心・安全サービスを提供” 東恩納 盛氏

2017年11月、旅行会社「沖縄ツーリスト」が運営するレンタカー営業所「OTSレンタカー(OTS Global Ltd.)」がクイーンズタウンにオープンした。同営業所ブランチマネジャーの東恩納盛氏に、クイーンズタウンを海外初の営業所の地として選んだ理由、今後の事業展開などについて伺った。

 

ニュージーランドの観光客は急増。

レンタカー市場の成長を見込む

沖縄県発の日本国内・海外の旅行ツアーなどを提供する「沖縄ツーリスト」(本社:沖縄県那覇市、代表取締役会長:東良和)は2017年11月、レンタカー事業を展開する「OTSレンタカー」をニュージーランド・クイーンズタウンに開設した。同社はこれまで台湾、韓国、シンガポールにレンタカーのカスタマーセンターを開設してきたが、海外の営業所開設はクイーンズタウンが初。同社がニュージーランドへの進出を決めた背景には、日本人が運転しやすい右ハンドル、左側通行、キロメートルで表示されるスピード環境にあったことのほか、ニュージーランドは近年の沖縄県と同様、アジアからの観光客数が急増しているという点にも注目したからだという。

KT:ニュージーランド進出を決めたきっかけは何でしょうか?

SH:「外国人が日本を訪れるインバウンドは、台湾や香港、韓国といったアジア各国からの観光客が全体の7割を占めています。沖縄県のレンタカー利用者も同様の割合です。弊社は支店というかたちではありませんが、台湾や韓国などにカスタマーセンターを設置しており、アジアにおけるビジネスのノウハウがあります。今後はニュージーランドもアジアからの観光客の取り込みについて本格的に考えていかなければならない状況の中、弊社ならニュージーランドでこれまでの経験を十分に生かせるのではないかと考えたのが進出のきっかけでした」

2014年2月、同社代表の東良和氏がニュージーランドを視察に訪れた。その際、東氏がレンタカーを借りてニュージーランド周遊の旅を体験したところ、緑の多さ、自然の豊富さを目の当たりにし、ドライブを楽しむには最高の地だと感じたという。その後、社内でニュージーランド進出の計画が本格的に進み、開設場所は、ニュージーランドの各都市の中でも世界的な知名度が高く、特に景色が雄大なことで知られるクイーンズタウンに決定した。しかし、同地には一つの大きな問題があった。

KT:OTSの強みは何でしょうか?

SH:「クイーンズタウンは有名な観光地ですので、当然ではありますが、欧米からすでに多くのレンタカー企業が進出していました。一方、日本流の安心・安全サービスを提供するレンタカー企業はこれまでほとんど存在していないこともわかりました。それを弊社がクイーンズタウンで浸透させることができたならばと、事業成長が見込めると判断され、進出計画は進められました」

2017年11月21日に無事、開所式が行われた。当日は、クイーンズタウンのカレム・マクロード副市長、在ニュージーランド日本国大使館の一等書記官の首藤敦氏、沖縄経済同友会代表幹事の玉城義昭氏らが出席。マクロード副市長は、クイーンズタウンを同社のニュージーランド拠点としてくれたことに対し感謝の言葉を述べた。また、地元の小学生たちによる民族舞踊「ハカ」のパフォーマンスも披露され、東さんは大いに感動。素晴らしいスタートを切ることができた。

 

日本で培ったノウハウで運営は順調

次の目標は「第三国観光」ビジネスの成功

開所後は日本でのノウハウがしっかりと生かされている。車両の手配や関税などの手続きのほか、同社のレンタカーを利用するドライバーに対してはニュージーランドのルールを守って安全に運転してもらうよう、また他のドライバーに対しての配慮のお願いなども丁寧に説明しているため、これまで大きなトラブルはなく運営は順調だ。

KT:車種に気を使われていることは何かありますか?

SH:「現在は4WDのレンタカー8台でまわしていますが、今後1年で150台まで増やし、車種は使用期間2年以内のほぼ新車に近いもの。さらに、ドライブレコーダー、反対車線を走ると警告が鳴るシステム、ブレーキアシストなど、豊富なオプションを搭載した安全性の高い車両を用意していきます」

沖縄本社は、インバウンドや多言語化にいち早く取り組んできた。ここクイーンズタウンでもアジア人観光客を取り組むため、3人の日本人スタッフのほかに、台湾人1人も常駐。今後も英語以外の言語を話せる現地スタッフを採用していく予定だ。そのほか、レンタカー事業以外でも、日本以外のアジア諸国からクイーンズタウンを訪れてもらう旅行ツアーも手掛けていくという。

KT:今後の展開をお聞かせください。

SH:「弊社は沖縄県を本拠地とする日系旅行会社のグループですが、2020年を目途に『第三国観光』事業、つまり日本を介さずアジア各国から観光客をニュージーランドへ呼び込む、『海外から海外へ』旅行する事業展開を強化したいと思っています。今後の事業拡大に向けて、今年は国内2カ所目となる営業所を、クライストチャーチに開設する予定です」

 

 

東恩納盛(ヒガシオンナ サカリ):

クイーンズタウン在住。OTSレンタカー(OTS Global Ltd.)クイーンズタウン・ブランチマネジャー。

OTSレンタカー(本社:沖縄県那覇市)海外企画室長、福岡支店支店長を歴任。趣味は旅行。www.otsinternational.nz

 

インタビューを終えて:

OTSレンタカーとしてのビジネスを軌道に乗せるだけでなく、新しい事業にも積極的に取り組んでいきたいと意気込む東恩納さん。「ニュージーランドにおけるビジネスは、日本で培ったノウハウを生かせば必ず成功すると思っています。ちなみに沖縄には、ウチナータイムと呼ばれる沖縄時間が存在します。ニュージーランドでも沖縄のように、のびのびとした時間を過ごしながら楽しく仕事をしてほしいですね」と、今後ニュージーランドで起業を検討している人に向けて、沖縄県出身者らしい言葉を送ってくれた。

 

この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.94(2018年1月号)」に掲載されたものです。

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