”確かな商品と行き届いたサービスを提供する” KEI SHIMATANI氏

 

最近はニュージーランドの大手スーパーマーケットやアジアン食材店などでも日本食材を購入できるようになった。その食材のパッケージ裏に記載されている卸会社「JFC New Zealand」。ニュージーランドのレストランや小売店に日本食材を卸している会社で、本社を日本に構える。今回は、同社のニュージーランド支店を任されている、支店長の島谷氏にお話を伺った。

JFC New Zealandは、1928年に米国法人貿易会社の出張所として設立されたJFC Japan(現JFC International Inc.)の海外拠点の会社でもある。JFC Japanは、戦争に伴い貿易が中断されるも、戦後に貿易を復活させた。現在はキッコーマンが親会社である。2004年、ニュージーランドに海外の拠点地として設立されたJFC New Zealand。島谷氏は同社の立ち上げ時に入社し、営業職と営業マネジャーを経て、支店長になった。今年で支店長4年を迎える。

即決で決めた渡航

「アメリカの大学に通って日本の商社に勤務していました。中国やフィリピンなど海外での仕事が多かったですね。その商社勤務時代に、ワーキングホリデーでニュージーランドに滞在していた方が入社されて、いろいろとニュージーランドの話を聞きました。もともと海外で仕事をしたいという気持ちが強かったので、海外に行くなら年齢的にもおそらくこれが最後だと思っていました。『ニュージーランドで何するんだ、今更、英語の勉強もないだろう』と両親からは言われましたね。ただ、年を重ねれば重ねるほど、やりたいことができなくなってくるので、今しかないかなと。あんまり考えると決断が鈍るので、即決で渡航することを決めました」

日本から海外で働く人を対称にした雑誌のウェブサイトで、ニュージーランドの枠の中にあった貿易に関する仕事を見つけ、その会社に応募した島谷氏。

「まずはワーキングホリデーで来てみませんかと言われました。それで、2001年3月、27歳の時に渡航し、面接後に無事に採用に至りました。当初は、1年のワーキングホリデーで滞在して、2、3年ほど何かしらのキャリアをつけて他の国に行くか日本に帰ろうかと考えていました。その当時は、永住権を取得するとか、そういった考えはまったくなかったんですね。実際にこの国に来て、皆さんが永住権の話をされていたこともあって、申請して永住権を取得したんです。あれから16年、今もニュージーランドに滞在しています。ここまで滞在できたのも、周りのおかげかなと思っています」

渡航後2年ほどして、勤務していた食材輸入の日系会社が同業種の会社に吸収合併され、その流れで合併後の日本食材を扱う会社で働くことになったそうだ。

「その吸収合併後の会社で働いてしばらくした頃、前会社で取引があったシドニーにあるJFC(Japan Food Corp. AUST RALIA Co Pty.Ltd)でオセアニアを統括しているGMから、ニュージーランド出店の立ち上げスタッフに興味がないかとお話をいただいて、現在の会社に転職しました」

立ち上げスタッフとして

「立ち上げで人数も限られていたので、まずは営業からのスタートでした。今のように分業ではなかったので、営業もするけど配達もする、コンテナ荷卸しもやりました。会社の流れを身体で覚えたというか、今ではその事が強みでもありますね」

支店長になってから商品の買い付けにも携わるようになった島谷氏。3年前には中国各地の工場を視察、昨年はジェトロの招聘で沖縄と熊本の展示会に参加し、日本産品の輸出に貢献できるよう、新商品の発掘に努めているという。

「通常の仕入は、本社サイドで行います。ただ、ニュージーランドでどのような商品が需要があるのかというのが、なかなか伝わりにくい部分もあるので、本社の買い付け担当と一緒に現地工場に出向き、チームで商品を発掘する仕組みを導入しています。この方がキャッチボールが最小限に抑えられ、すぐ商品化に繋がるので、効率的です。日本で日本人が考える日本食と、この国で需要のある日本食とでは違いがあるんです。仕事を長く続けていけているのも、新発見が多いからだと思います。食材をお届けしても、最終的には美味しい、美味しくないのどちらかしかありません。実際に食べている方々が、おいしくなさそうな顔をしていたら、がっかりします」

「確かな商品と行き届いたサービス」を提供

「弊社が企業理念に掲げている、『確かな商品と行き届いたサービス』を提供する事が、コアにあります。弊社の、約7割の顧客が日本人以外のお客様で、言葉も違えば文化も違います。単純に商品をお届けするのではなく、お客さまが『この商品を買う』のではなく『弊社のサービスに満足している』と言っていただけるよう、心がけています。弊社では、企業理念を実践するため、ただ安いから買うのではなく、実際に工場の生産現場に訪問し、商品の安全性を入念に確認いたします。商品がいつ、どこで、誰によって作られていたかを明らかにすべく、原材料の調達から生産、そして消費または廃棄まで追跡可能な状態にするシステム(トレーサビリティー)で加工されている商品を優先的に仕入の対象としております。体内に入るものですから『いや、どこで異物が入ったのか分りません』では無責任すぎますよね。だから、あとで何かあった時にトレースできるようにしています。その分、商品の価格が時に市場に出回っている他社の商品より若干高い事があるかも知れませんが、弊社で取り扱う商品は、本社からスタッフが現地工場を定期的にチェックし、安心安全である事を常に確認しております」

問屋の機能に精通する

「親会社のキッコーマンの方針で、小売店はしないで問屋の機能に精通する形を取っています。もし、小売店を設けて販売した場合、我々の小売店のお客様と競合してしまうので、基本的に問屋としての機能を優先させ『縁の下の力持ち』ではないけど、レストランや小売店のお客様のサポートをしていきたいと考えています」

通常は、一般のお客様に表立ってアプローチをしていない同社が、昨年の11月に「酒EXPO」をオークランドで開催した。レストランやメーカーとの商談会として、レストラン関係者と一般の入場も含めて、1,000人の想定を上回る5,000人の来場があった。

「おかげさまで、初めてにしては盛況でした。ただ、『JFCの商品は判ったけど、じゃあ、どこで買うんだ?』という落としどころが定まらなかった点やサンプルの量など、いくつかの課題が残っています。今回は、レストランに販売をしたい、一般のお客さまにどう思われているのか、どう感じられているのかを知りたいベンダーの方々と顔を合わせて商談をしていただくのが目的だったので、日本人だけでなく、他国の方々も真剣に話を聞いている姿を見ることができたのは、よかったです。ニュージーランドには、日本人の数がまだ少ないけどパワーがありますね、と可能性を感じていただけましたので、そういった意味では成功でした。我々にとっても、日本食の根強い人気を肌で感じることができ、励みになりました。今年は、オーストラリアのメルボルンで同様のイベントを開催、今後も、我々が扱う商品を知ってもらう為のイベントを開催していきます」

北島のウェリントンとオークランドに拠点があり、ニュージーランド全地域に直接的なサービスを充実させていきたい、そして、顔と顔とを合わせた商売をしていきたいと締めくくった。

KEI SHIMATANI

JFC New ZealandLtd(Kikkoman Company)支店長

44歳。オークランドに在住。趣味は週末は家で日本酒を飲みながら鍋料理や酒の肴になるような創作料理を作っている。

www.jfcaustralia.com.au

15 Bruce Roderick Drive, East Tamaki, Auckland

+64 9 969 2400


インタビューを終えて:

終始笑顔で対応してくれた。本当に食べる事が好きなのだと思う。新商品の発掘や生産時のチェックなど、食材に対して厳しい目を持ちながら、美味しいものを届けたいという、日本食に対する情熱を感じた。

 

この記事は、ニュージーランドの日本語フリーペーパー「KIWI TIME Vol.102(2018年9月号)」に掲載されたものです。

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